株式会社ハイレゾ(東京都新宿区)は、東京大学大学院の江崎浩教授が顧問(テクニカルアドバイザー)に就任したと明らかにした。アジア・グローバルサウス市場への展開を目指し、組織体制を強化する。今回の体制整備は、GPUクラウドの供給基盤づくりと海外展開の進め方に影響を与える可能性がある。
ハイレゾは、アジア・グローバルサウス市場での事業展開を進めるうえで、江崎氏を顧問に迎える。役割は技術面の助言にあたり、同社が国内で蓄積してきたAIデータセンター運営のノウハウを海外市場へ広げる際の後押しと位置づける。
江崎浩氏が顧問就任
江崎氏は、次世代インターネット、サイバーセキュリティ、スマートシティなどを研究領域とする。
政府が掲げる、日本のITインフラを地方に分散し地域社会へ還元する構想「ワット・ビット連携」において提言している点も、ハイレゾが就任の背景として挙げた。同社は江崎氏の参画により、事業と組織の成長を加速させたい考えだ。
江崎氏の経歴では、1987年に東芝へ入社後、1998年に東京大学大型計算機センター(現・情報基盤センター)助教授を務め、2005年から東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻教授となった。
日本データセンター協会の副理事長・運営委員長(2009年)やデジタル庁のChieff Architect(2021年)、日本ネットワークインフォメーションセンター理事長(2022年)などを歴任し、2023年には北海道顧問(再生エネルギー活用促進担当)も担っている。
GPUクラウド2,000件超
ハイレゾはGPUクラウドサービス「GPUSOROBAN」を展開している。画像生成AIやLLM(大規模言語モデル)などの計算処理をGPUで高速化する用途を想定し、建設コストや運転コストを抑えることでNVIDIAの高性能GPUサーバーを低コストで提供するとしている。
利用実績は累計2,000件を超え、IT業界に加え、製造業、建設業、大学研究機関などでの利用がある。
供給基盤として、同社は日本国内でAIデータセンターを開設してきた。地方で遊休施設を活用するなど、環境負荷を抑えた独自の建設モデルを採ってきたという。
国内で培った事業ノウハウを、AI開発需要が拡大するアジア・グローバルサウス市場へ展開する方針で、今回の顧問就任はその組織強化策の一環となる。
地方拠点モデルを継続
ハイレゾは2019年から石川県志賀町でGPUデータセンターを運営し、「GPUSOROBAN」を提供してきた。
2024年には香川県高松市に中四国地方初の「AI開発用GPU専用データセンター」を開設し、2025年8月には佐賀県玄海町で廃校を利活用したGPUデータセンターを新規開設する。2026年には香川県綾川町に中四国地方2拠点目となるGPUデータセンターの開設も予定する。
同社は2024年4月に経済産業省の「クラウドプログラム」供給確保計画に認定された。
GPUインフラを巡っては、KDDI、さくらインターネット、ハイレゾの3社が、急速に高まるGPU需要への柔軟な対応に向け、安定かつ迅速なGPUの相互利用が可能な体制の構築を目指す基本合意書を締結した経緯もある。基本合意では、企業間アライアンスを通じたGPUの相互利用や相互送客の推進、用途に応じた最適なGPUを相互利用するプラットフォームの検討などを掲げた。
海外展開と制度連動に論点
今後は、ハイレゾが掲げるアジア・グローバルサウス市場への展開に向け、国内で運用してきた地方分散型の拠点モデルや、複数社連携によるGPU相互利用の枠組みをどのように接続していくかが注目点となる。
経済産業省の「クラウドプログラム」供給確保計画の認定を受けた事業運営と、技術助言を担う江崎氏の知見を、事業と組織の拡張局面でどう生かすかが、今回の体制強化の位置づけを左右しそうだ。
