一般社団法人グリーンコープ共同体(福岡市博多区)のグリーンコープは、組合員宅までの配送業務で進める配送トラックの電気自動車(EV)化について、2026年度にEVトラック206台を追加導入する。2027年までに保有する配送トラックの全車両をEV化する計画で、環境負荷の低減とエネルギーコストの抑制を両立させる狙いだ。
グリーンコープは保有する配送用トラック894台のうち、2024年3月時点で444台をEVトラックに切り替えた。ガソリン価格が上昇する中、EVトラックの導入により燃料コストを月間で37%削減しているという。充電電源には自前の電力サービス「グリーンコープでんき」を用い、温対法(地球温暖化対策推進法)上の取り扱いも踏まえて非化石証書の活用を進めている。
保有894台の切替進捗
配送トラックのEV化は、保有台数894台という車両規模を前提に進む。グリーンコープは2021年から本格的に配送トラックEV化を推進し、2024年3月時点で444台(約5割)をEV化した。2026年度に206台を追加導入し、2027年までの全車EV化を目指す。配送ネットワークでは、配送トラックの1日あたりの総走行距離が約4万キロメートルに達し、地球約1周分に相当する規模の運行を行っている。
外部環境では、イラン情勢の悪化に伴いガソリン価格が急騰している。全国のレギュラーガソリン平均小売価格は3月16日時点で1リットルあたり190円80銭とされ、前週から29円上昇した。5週連続で値上がりし、過去最高を更新した。グリーンコープは、こうしたエネルギー価格の上昇局面でもEVトラックを導入することで動力コストを抑制し、安定した配送体制の維持につなげている。
グリーンコープ共同体は2018年に設立された。九州(福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島)、近畿(大阪、兵庫、滋賀)、中国(鳥取、岡山、島根、広島、山口)、福島の16生協等で構成する。組合員数は約50万人、年間配送取扱高は約1,000億円規模とされ、広域の配送網の運用と並行して車両の更新を進めてきた。
背景には、物流部門の温室効果ガス排出削減と燃料費変動への対応がある。環境省のデータでは、物流部門のCO2排出量は2023年度に1.8億トンで、全体の14%を占める。資源エネルギー庁の統計では、レギュラーガソリン全国平均価格は2026年3月時点で1リットルあたり184円50銭となっており、燃料費の変動が運行コストに直結しやすい状況が続く。生協業界では、日本生活協同組合連合会(JCCU)のデータとして配送トラック総数約5万台、2024年末のEV化率8%といった数字があり、グリーンコープの取り組みは業界内でも先行的な事例となる。
非化石証書で電源整備
EVトラックの充電電源には「グリーンコープでんき」を使用している。原発に依存せず、太陽光、小水力、地熱、バイオマスなどを利用した発電による電気で、化石燃料に頼らない電源構成を掲げる。
一方、温対法上の取り扱いでは、再生可能エネルギー由来の電気であっても、非化石証書を伴わない電力は全国平均のCO2排出係数で算定される。このため、グリーンコープは非化石証書を使う「CO2ゼロエミッションプラン」を利用し、温対法上も「CO2排出ゼロ」として扱えるようにしている。2024年度は家庭・小規模事業所向けの低圧電力でも非化石証書を購入し、CO2排出ゼロを実現したとしている。非化石証書市場は拡大しており、電源属性の取り扱いを巡る制度整備がEV運用の実務と結びつきやすい環境が整いつつある。
車両面では、グリーンコープのEVトラックは主に日野自動車製DUT08A-PEのウォークスルータイプ(積載2トン、航続距離約150キロメートル)を採用し、2023年5月には100台目の導入を達成した。日野自動車は2024年2月に、グリーンコープ向け同モデルの納入実績を公表している。具体的な車種選定と供給体制が固まっていることで、今後の段階的な追加導入を見据えた調達の安定性も高まる。
供給・運用の面では、894台のうち444台をEVに切り替え、2026年度に206台を追加導入する台数計画を軸に、充電は「グリーンコープでんき」と非化石証書による「CO2ゼロエミッションプラン」を組み合わせる。1日あたり約4万キロメートルに達する配送量をEVで賄う体制を構築しつつ、燃料費の抑制とCO2排出削減を同時に進める構図だ。
