五洋建設株式会社(東京都)の2026年3月期第3四半期累計(4~12月)の純利益は290億円となった。期中にもかかわらず、20年3月期に記録した過去最高の純利益233億円を上回った。防衛関連などの工事需要増が追い風となっている。大型作業船の建造を軸に洋上風力発電施設の建設投資も進め、建設需要の取り込みを急ぐ。
純利益は会社計画ベースで通期320億円を見込む。前期比で約2.5倍の水準だ。好調な受注環境を背景にしつつ、利益率の引き上げやDX強化など体制面の手当ても同時に進め、成長ドライバーの位置づけを洋上風力へ広げる構えだ。
五洋建設が純利益290億円
五洋建設の2026年3月期第3四半期累計の純利益は290億円だった。
過去最高だった20年3月期の233億円を期中で上回り、利益水準の切り上がりが鮮明になった。通期の会社計画は320億円で、前期比約2.5倍を見込む。
受注環境では、土木分野で国土強靱化や防衛関連の工事が増えているという。
防衛分野では、鹿児島県の馬毛島や沖縄県のキャンプ・シュワブの工事に加え、米軍の軍港移転や自衛隊の基地強化などの需要が強いとみる。需要の流れは30年ごろまで続く可能性があるとした。
建築は受注年3000億円超
建築分野では工場やデータセンター、物流倉庫の需要が旺盛で、年間3000億円超の受注が続いている。
五洋建設は、2000億円以上で採算が悪くなるという「2000億円の壁」があったとしつつ、全社的な施工能力の向上などで増勢を維持できているとの認識を示した。
株価は上昇基調にある。2月12日に上場来高値2257円を記録した。五洋建設は、海外で大型損失が複数発生した局面で株価が低迷していた一方、25年3月期の決算発表で赤字工事などの悪材料がおおむね出尽くしたことが株価の見直しにつながったと説明した。
洋上風力の作業船建造を推進
今後の成長ドライバーとして五洋建設が投資を積極化しているのが、洋上風力発電施設の建設に向けた大型作業船の建造だ。
設備投資を進める中でも、増配や自社株買いを着実に実施している点が評価されたとの見方を示した。国の防衛力強化へ向けた投資が重なったことも、事業環境の追い風になっているという。
一方で、先行きの不透明感も残る。三菱商事連合が発電事業を予定していた秋田・千葉県沖の3海域から撤退したためだ。洋上風力を成長軸に据えるうえでは、発電事業の計画変更が建設投資のタイミングや案件形成に与える影響が論点となる。
部門間連携とDXを強化へ
五洋建設は、海外の損失や国内の採算の悪い工事などにより、売上高の拡大に利益の拡大が追いついていない点を問題意識として挙げる。
利益率を上げる手段として、土木と建築が一緒に取り組む「部門間連携」をさらに進める方針だ。防衛関連工事では土木や建築の区別がない面がある一方、日本のゼネコンの中で一体で取り組めるのが同社の特徴だとしている。
あわせてBIM(3次元設計)をはじめDXを強化する。
採用面では、建設業は資格者がいなければ仕事ができないという前提のもと、事業量の増加を見据えて採用を強化してきた。会社全体の年齢構成は20代が30%を超えており、将来の戦力として位置づける。
こうした収益性の立て直し策と投資方針は、5月に発表予定の27年3月期~29年3月期の新中期経営計画の焦点の1つとなる。
