ジェノバ(東証グロース)は、高精度な位置情報配信サービスを展開している。ネットワーク型RTK方式を活用し、衛星測位に伴う誤差をセンチメートル単位に縮小することを可能にしている。測量分野などでの利用のされ方を導入事例とともに示すことで、導入検討や運用手順の見直しに影響が及ぶ可能性がある。
ジェノバが扱う測位では、GPSやGNSSなど衛星からの情報だけではメートル単位の誤差が生じる一方、ネットワーク型RTK方式により誤差をセンチメートル単位に縮小できる点を特徴とする。機器をGNSSに接続するだけで使用が可能という運用の容易さも掲げており、測量分野などを中心に高精度な位置情報の配信サービスを提供している。衛星測位単独で生じる誤差を補正し、現場の測位精度を高める役割をネットワーク型RTKが担う構図だ。
公開価格470円と初値2106円
ジェノバは2023年4月18日に上場した。公開価格は470円で、19日に2106円で寄り付いた。本稿作成時点の株価は600円台半ばとされ、昨年4月7日の543円から9月24日の880円まで買い戻された後、660円水準と740円水準のもみ合いを経て押し目を入れている局面にある。予想PERは15.72倍、予想税引き後配当利回りは1%水準としている。
業績面では、上場後初決算の2023年9月期が「3.8%増収、8.2%営業増益、4円配」だった。以降は「4.9%増収、6.7%増益、5円配」「8.0%増収、11.4%増益、6円配」と増収増益と配当の増額を見込み、2026年9月期は「4.8%増収(14億3300万円)、0.7%増益(7億7900万円)、7円配」を計画している。2024年通期の業績見通しとしては売上高12億7000万円、当期純利益4820万円、EPS35.01円が示されており、上場後の数値推移と併せて成長度合いが注視されている。
事業面では、高精度の位置情報配信をリアルタイムで提供し、後処理データ配信にも対応する。関連テーマには測量のほか、スマート農業、ドローン、地図情報システム、通信機器、ロボット、自動運転車、IoT、MaaSが挙げられ、位置情報の高精度化が複数分野のデジタル化や自動化と接点を持つ構図が浮かぶ。
ジェノバは2002年に設立し、関東・関西の独自基準点網を活用したネットワーク型GPS補正情報のモニターユーザー配信を開始した実績を持つ。測位の高精度化では、海底調査でマルチビーム測深機の使用を可能にし、「面」的な観測を通じて短時間で成果を作成できるようにした例がある。観測方法の変化が成果作成の工程に直結し、現場の作業手順を見直す契機となったケースだ。
また、産業廃棄物最終処分場の埋立容量計測および埋め立て計画・設計におけるネットワーク型RTKの活用事例も紹介している。北海道室蘭市に本社を置く企業が、安定型処分場でTS(トータルステーション)とレベルを用いて容量計測をしていたところ、安定型・管理型最終処分場の新設で計測範囲が広がったことを受けてGNSS測量に切り替え、補正データサービスとしてジェノバのサービスを選択し、利用は6年目に入っている。計測範囲の拡大が従来手法の限界を浮き彫りにし、GNSS測量への切り替え判断につながった経緯を示すものだ。
ネットワーク型RTKの役割分担
ネットワーク型RTKは、機器をGNSSに接続するだけで使用が可能という運用面の簡便さを特徴とする。ジェノバは「業界最高精度の測位方式」を掲げ、従来のTSとレベルによる測量からGNSS測量への切り替えと補正データサービスの選択という導入パターンを提示している。
提供形態は、高精度の位置情報配信をリアルタイムで行うとともに、後処理データ配信にも対応する構成となっている。利用側はGNSS機器を接続して補正情報を受け取り、測量作業のプロセスをTS・レベル中心の計測からGNSS測量へ移行させる選択肢を持つ。導入事例で示された6年に及ぶ継続利用は、単発ではなく長期にわたる運用が可能な補正サービスとしての性格をうかがわせる。
上場後の株価水準と中期的な業績計画に加え、測量や海底調査、最終処分場の容量計測といった具体的な利用局面が明らかになったことで、導入検討の現場では補正データの取得手順や、TS・レベルからGNSS測量へ切り替える際の作業工程の再設計が焦点となりそうだ。
