株式会社学研ホールディングス(東京・品川)のグループ会社、株式会社TOASU(東京・品川)は、一般社団法人発明推進協会の監修のもと、知的財産に関わるビジネスパーソンを対象とした新カリキュラム「たった一つの判断ミスが招く知財トラブル〜営業、企画が直面するリスクとその回避法〜」の提供を開始すると発表した。第1回講座は2026年1月29日にオンラインで開催する。
TOASUが提供する今回の研修は、特許や商標などの専門知識にとどまらず、営業・企画部門など現場レベルの意思決定に必要な知的財産リテラシーを実践的に養う狙いがある。発明推進協会の監修を受け、実際の訴訟や企業の商標事例を題材に議論する形式を採るのが特徴で、学研ホールディングスグループが展開する人材育成事業の一環として位置づけられる。
知財教育を現場に拡張
この研修プログラムは「セルフレジ特許」や「著名ブランドの商標」など、実際の判例をもとに参加者が自ら判断や対応策を討議する設計になっている。全3セッションで構成され、特許・商標・著作権それぞれの局面における企業対応を学ぶ内容だ。
TOASUは単発の公開講座に加え、企業ごとの課題に応じてカスタマイズした社内研修の提供も想定している。
講師は企業の知財戦略を支援してきた弁理士が務める。中川特許事務所の中川淨宗氏が登壇し、企業が直面するリスク事例を題材に、法的知識を実務の視点から再構築する講義スタイルを採る予定だ。
参加者に「競争優位を築くための知財思考」を根付かせることを目指す。
AI時代へ対応強化
学研ホールディングスによると、生成AIやIoTなどデジタル技術の発展を背景に、開発現場で新たな知的財産が次々と生まれているという。
一方で、営業や開発の現場担当者が知財価値を認識できず、収益化やリスク回避の機会を逃す問題が増えている。AI生成物の扱いやソフトウェア特許、ウェブ上の商標トラブルなど、新たな論点を扱う必要が高まっているためだ。
こうした変化を踏まえ、TOASUは知財を「法務の専門領域」から「全社員が関与すべき経営資源」へと位置づけ直す動きを進めている。
特許やブランド価値を利益を生み出す資産として捉え直し、知財活動を投資の一環として理解する意識改革を促す点が今回の研修の中心に置かれている。
教育・研修市場の広がり
同社はオンライン形式での講座提供により、全国の企業が受講しやすい環境を整える考えだ。受講時間は3時間とし、都合に応じて企業単位での実施も可能とする柔軟な体制を採る。
グループ会社による知財教育の拡充は、人材育成事業全体のラインアップ拡大にもつながる。
TOASUでは今後、IT・製造・サービス業を含む多様な企業層への導入を視野に入れている。
企業の知財や法務部門の担当者だけでなく、開発や営業部門など非専門職向けに知財の理解を促す点が特徴的だ。
業務プロセスの初期段階から知財の観点を取り入れることができれば、ライセンス収益やブランド戦略などの付加価値創出にも寄与するとみられている。
発明推進協会の知見も加わることで、法制度とビジネス実務を橋渡しする教育コンテンツを志向している。
実務人材育成の焦点に
TOASUは学研ホールディングスの研修事業を担う中核企業として、知財・法務分野に加え、AIやデジタル教育などの新領域を扱う講座を展開してきた。
近年は企業のDX推進や生成AI利活用に伴い、知財面の理解を持つ人材の育成需要が高まっている。
今回の新カリキュラムはその一環として、既存の研修事業の枠を広げる意味を持つ。
今後は、社内研修の需要や受講者層の広がりを踏まえ、他分野への横展開も見込まれる。
知財を経営資産と捉える潮流の中で、現場レベルの教育強化がどこまで定着するかが注目される。