外国人材採用支援事業を展開するG.A.グループ株式会社(東京都渋谷区)は、企業経営者(20代~60代の男女)を対象に「採用難時代における外国人材採用への期待に関する調査」を実施した。育成就労制度の認知度や理解度、外国人材の採用状況、制度の活用意向を明らかにし、制度理解の有無が外国人材の育成・定着を左右しうる実態が浮かび上がった。
調査は、2024年に法案が成立し、2027年4月に施行される育成就労制度に関し、経営者層の認知と受け止めを把握することを目的とした。制度変更が外国人材の採用・定着の枠組みを変えるとの認識から、期待の内容と採用戦略との結びつきを検証する設計とし、制度の理解度と採用実態の双方から企業側の姿勢を分析した。
経営者430人の回答
調査はインターネットで実施した。対象は企業経営者(20代~60代の男女)で、調査人数は430名、モニター提供元はRCリサーチデータとした。育成就労制度の認知については、「知らない」が46.3%とほぼ半数を占め、「名前は聞いたことがある」が32.6%、「知っている」が21.2%だった。
「知っている」と回答した層に対し、制度の具体内容の理解度を尋ねたところ、「ある程度理解している」45.1%と「よく理解している」29.7%を合算した74.8%が、一定の理解を示した。制度名を知る層の中では、具体内容への理解が比較的進んでいる状況がうかがえる。
外国人材の採用状況を尋ねた設問では、「採用していない」が67.7%と多数を占めた。一方、「必要に応じて採用している」14.0%、「ある程度採用している」10.5%、「積極的に採用している」7.9%を合算すると32.4%となり、企業の3社に1社以上が、程度の差はあれ外国人材を採用していた。
制度の具体内容を理解している企業経営者に対し、制度開始が自社事業にどの程度プラスの影響があるかを尋ねた設問では、「大きなプラスの影響がある」26.5%と「ややプラスの影響がある」26.5%が並び、合算で53.0%と半数を超えた。制度に特に期待する点としては、「就労を通じた実効的な技能習得・日本語能力の向上」27.9%、「人材の長期的な定着」26.5%、「キャリアパスの明確化(特定技能への移行・永住権の取得)」19.1%が上位に挙がり、技能形成と定着、将来の在留資格の見通しに関心が集まった。
特定技能メイン27.3%
外国人材を採用している企業経営者を対象に、育成就労制度と既存の特定技能制度をどう活用する予定かを尋ねた設問では、「即戦力を重視し、『特定技能』をメインに活用する」が27.3%で最も高かった。次いで「長期雇用・育成を重視し、『育成就労』をメインに活用する」24.5%、「『育成就労』で育成しつつ、『特定技能』も併用してバランスよく活用する」19.4%が続いた。
G.A.グループは、外国人材紹介や派遣、特定技能外国人向け求人サイトの運営、日本語教育支援などを手がけ、ベトナムやインドネシア、ミャンマー、フィリピンなどを対象にした支援実務を持つ。ビザ申請サポート、入国・入社後の生活支援、定着に向けたフォローアップを一体で扱い、企業側の採用・受け入れ手続きと就労後の支援をつなぐ業務を展開してきた。今回の調査は、こうした実務領域と制度変更の接点を、経営層の認知や制度活用の方針として数値化したものとなった。
外部環境では、厚生労働省の外国人雇用状況の届出に基づく集計で、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人と2007年以降で過去最多を更新した。在留資格別では「専門的・技術的分野」86万5,588人、「身分に基づく在留資格」64万5,590人、「技能実習」49万9,394人が多い。専門的・技術的分野に含まれる特定技能は28万6,225人で、前年差7万9,230人、伸び率38.3%増と高い伸びを示した。国籍別ではベトナム60万5,906人(23.6%)、中国43万1,949人(16.8%)、フィリピン26万0,869人(10.1%)が上位を占める。制度改正を控えた受け入れ拡大の流れが強まるなか、企業側には制度の理解と運用設計が求められている。
育成就労制度を巡っては、調査で「知らない」が46.3%を占める一方、認知している層の中では具体内容の理解が進んでおり、経営者間で情報格差が残る構図が浮き彫りになった。実務面では、外国人材を採用していない企業が67.7%と多数を占めるのに対し、採用経験のある企業は32.4%にとどまり、受け入れの知見にもばらつきがある。
制度活用の意向では、特定技能をメインとする27.3%と、育成就労をメインとする24.5%が拮抗し、併用を選ぶ19.4%も含め、多様な選択肢が並んだ。制度に期待する内容として「就労を通じた実効的な技能習得・日本語能力の向上」「人材の長期的な定着」「キャリアパスの明確化」が上位に挙がったことから、企業側には、育成就労と特定技能をどう組み合わせ、自社の人材戦略に組み込むかが問われている。
