株式会社G-grow(愛知県名古屋市)は、豊橋市が主催する実証開発プロジェクト「TOYOHASHI AGRI MEETUP(豊橋アグリミートアップ)」の一環として、株式会社めぐりとまと(豊橋市)と共同で行った燃料削減およびCO₂排出低減の実証実験結果を公表した。ミニトマト生産用ハウスのボイラーに新技術を導入した結果、燃料使用量を約15%削減したという。
G-growは、炭素系液体燃料活性触媒「TT EX PRO」を使用することで、A重油燃焼ボイラーの燃焼効率を高める実験を実施した。この試みは、持続可能な農業経営の推進を狙うアグリテック共創事業の一環であり、同社にとってGX(グリーントランスフォーメーション)対応技術の地域実装という位置づけにある。
燃料3万ℓを削減、生産現場で成果確認
今回の実証では、株式会社めぐりとまとが運営するハウスにおいて、1シーズンあたりの燃料使用量を33,000ℓから28,000ℓへと削減し、コスト低減とともにCO₂排出量を約13.5トン減らした。
これは成木約1,000本が1年間で吸収する量に相当する。高温維持が求められるハウス園芸において、燃料削減と排出抑制を両立した点が注目される。
G-growは、実験結果を報告する現地説明会で燃料注入デモなども実施し、導入効果を可視化した。
報告会は豊橋市老津町の万場ハウスで開かれ、農業者や行政関係者が参加した。
燃料コスト削減はもちろん、地域農業における脱炭素化の実現可能性を示すデータとして関心を集めた。
農業脱炭素へ官民連携 アグリミートアップの狙い
「TOYOHASHI AGRI MEETUP」は、豊橋市が地域農業者と技術系スタートアップの共創を促す取り組みだ。年2回の交流イベントを通じて、地域課題の共有と技術導入の機会創出を進めており、今回の協働はその成果にあたる。
温室効果ガス削減や燃料代の抑制といった実利が裏付けられたことで、今後の他作物・他地域への応用にも道筋が見える。
参加した株式会社めぐりとまとの伊藤充治代表は、「導入前は半信半疑だったが、結果的に実際の削減を確認できた。燃料費だけでなく社会的意義も大きい」と語った。
現場からのこうした声が、市内事業者の技術採用を後押しする可能性もある。
G-growのGX事業、排出削減支援を拡大
G-growは、愛知県名古屋市中区に拠点を置き、スコープ1から3までの温室効果ガス排出削減に取り組む。政府が進める「GX実現」に整合させ、企業や自治体の燃焼・発電プロセスなど直接・間接排出の低減支援を行っている。
今回の豊橋での取り組みは、農業分野での具体的な排出削減効果を示す事例として社内でも重要視されている。
同社によると、「TT EX PRO」は従来燃料へ添加するだけで燃焼効率を改善し、設備の改修を伴わずCO₂排出を減らせる点が特徴だ。製品は今後、他地域の農業ボイラーや一般事業用機器への展開も検証される見通しだ。
地域農業の省エネ効果検証、次の焦点に
豊橋市では、同プログラムを通じてスタートアップ技術を活用した「低炭素化モデル農業」の体系化を進めている。
燃料や電力に依存するハウス栽培農家にとって、省エネ対策は経営の安定性に直結する。G-growとめぐりとまとの取り組みは、こうした課題解決の実証として位置づけられる。
今後は、市のアグリミートアップ事業に参加する他事業者や技術開発企業への展開、ならびに同様の炭素削減技術の横展開が注目点となる。
継続的な燃料削減効果の検証と、他地域への実用化プロセスの共有が焦点となりそうだ。