水産練り製品メーカーである株式会社フジミツ(山口県長門市)は、魚肉練り製品および惣菜製品の価格を2026年3月1日店着分から改定すると発表した。魚肉練り製品は7%〜10%、惣菜製品(レトルト製品)は12%〜15%の値上げとなる。同社が取り扱う主要製品群全体に及ぶ改定で、継続的な原料高騰に対応し、安定供給体制を維持する狙いがある。
今回の改定は、主原料のスリミ(魚肉すり身)や副原料の鶏卵・包装資材費・物流コストなどの上昇を受けたもので、企業努力だけでは価格を維持できない状況に達したための判断だ。フジミツは、品質の維持と供給安定を目的とする経営対応の一環として価格改定に踏み切る。水産練り製品を中心とする同社の主力事業に直結する施策であり、全国の取引先・販売店への周知が進められている。
魚肉練り・惣菜が7~15%値上げ
値上げ幅は製品種類によって異なる。魚肉練り製品では7%~10%、レトルトなどの惣菜製品では12%~15%の間で設定される。
適用開始日は2026年3月1日店着分からとなる。
フジミツが扱う魚肉練り製品には、蒲鉾やちくわ、かにかまなどが含まれる。いずれも国内外の食品メーカーや量販店向けの販売が多く、安定した需要分野とされる。具体的な商品別の改定幅や流通対応は、同社営業部を通じ個別説明を行う。
この価格改定は、山口県内の工場で生産される同社製品全体に波及するものであり、全国販売網への影響も大きい。
改定後も品質基準を維持する方針で、現行製造ラインや原料調達ルートの見直しは行わないとみられる。商品供給の継続を優先し、原料高への段階的対応策を採用する形となる。
創業130年の水産練りメーカー、原料高に直面
フジミツは1880年代に創業し、1964年に法人化した水産練り製品メーカーだ。
山口県長門市の本社・工場を拠点に全国出荷を行い、伝統的な蒲鉾製品から業務用の冷凍食品まで幅広く展開している。「すり身の匠」として知られ、惣菜や火鍋具材向け製品など新カテゴリー開発も進めてきた。最近では「かにかま団子」など、外食・中食用途向けの業務用製品も手がける。
背景には、世界的な魚肉すり身価格の上昇がある。東南アジアや米国産スリミの需給逼迫に加え、輸送費・包装資材・人件費の上昇が重なった。
さらに、国内では鶏卵価格の高止まりが続き、副原料全般のコスト負担が高まっている。包装資材の一部は木材や石油派生品を使用しており、原材料価格の連鎖的上昇が採算を圧迫する要因となっている。
食品業界で広がる価格改定の連鎖
食品業界全体でも、2025年以降は原料・物流コストの上昇を受けた値上げが続いている。
特に加工食品や惣菜分野では、大手・中堅企業を問わず価格改定が相次ぐ。
魚肉練り製品メーカー各社の間でもスリミの調達価格に差があり、地域や製品仕様ごとの価格対応が課題となっている。業界関係者からは、「練り製品は保存性が高く需要が安定している一方で、原料依存度が高くコスト転嫁が難しい構造にある」との声も出ている。
また、小売各社では値上げ局面でも販促費を抑えながら購買維持を目指す動きがあり、メーカー側では品質維持の説明責任が一層重くなっている。
近年は地域資源を活用した新加工食品の開発が活発化しており、水産品を中心とする原料需給の安定化や、価格転嫁を円滑に行える流通体制の確立が業界全体の課題として浮上している。
供給維持へ、今後の注目点
今回の価格改定により、フジミツは品質水準を保ちながらコスト構造の見直しを進める方針を示した。
食品値上げが続く中、同社の動きは練り製品市場における価格動向の目安にもなる。
今後は、原料調達の安定化や物流費抑制に向けた取り組みが、製造側の重要な注目点となるだろう。