フジテック株式会社(滋賀県彦根市)は2026年3月期第3四半期(2025年4月~12月)の連結業績を発表した。受注高は2,035億円と前年同期比4.9%増で、営業利益は49.2億円増の187億円となった。営業利益率は10.6%に達し、いずれも過去最高を更新。売上高は1,774億円で前年を0.4%下回ったが、為替の影響を除けば過去最高を記録したとしている。
国内では新設・アフターマーケットともに堅調で、南アジアや米州・欧州も現地通貨ベースでは伸長したことが寄与した。日本では営業利益・受注・売上の全てが過去最高を更新しており、南アジアでは受注、米州・欧州では受注と営業利益がいずれもこれまでの水準を上回った。事業別では、アフターマーケット部門全体の拡大が収益面の押し上げにつながったとみられる。
営業利益187億円、過去最高を更新
受注高は前年同期の1,940億円から4.9%増加し、日本、南アジア、米州・欧州で過去最高を記録した。営業利益は35.7%増の187億円で、日本と米州・欧州の伸びが目立った。営業利益率も10.6%と過去最高の水準にあり、前年同期比では2.8ポイント上昇した。セグメント別では、日本が売上・利益の両面で堅調に推移し、米国や英国で修理事業が拡大、台湾やシンガポールでも保守分野が増加した。
一方、東アジアは主に香港でのモダニゼーション需要減少の影響を受けたが、台湾では堅調だった。南アジアではインド市場でのモダニゼーションや保守事業の成長が寄与している。各地域での事業構成では、日本の構成比が高く、南アジアや欧州・米州もバランスよく分散していることが全体収益の安定に貢献した。
新標準型エレベータ投入や大型受注が寄与
背景には、製品・事業両面の施策展開がある。2025年4月に発売した新標準型エレベータ「エレ・グランス」はデザインと防災性能を強化し、同年度のグッドデザイン賞をユニホームと併せて受賞した。また、南アジアではフジテック・インドが「チェンナイメトロ3号線・5号線整備工事」向けにエスカレータ451台を受注した。これによりインフラ関連の大型案件供給体制が拡充している。メキシコ市場ではグループ会社を活用し、高速エレベータ7台をハイクラス物件に納入するなど、海外展開も実績を積み重ねている。
国内では教育・品質体制の強化も進め、2025年度の昇降機等検査員試験では50名全員が合格し、3年連続で高水準を維持した。一方で、環境対応では本社敷地にオンサイトPPA方式で太陽光発電を導入し、年間70万kWhを発電する見込みとしている。この設備は本社の電力使用量の約14%を賄い、温室効果ガス削減目標に沿う取り組みの一環と位置づけられている。
「Move On 5」に沿う体制運用と事業維持
今回の成果は、中期経営計画「Move On 5」の初年度施策が進捗したことによるものとされる。新製品「エレ・グランス」は専業メーカーとしてのブランド刷新を目的としたもので、販売、保守サービス両面で系列体制を活用した展開を採る形をとっている。太陽光発電システムはオンサイトPPA契約に基づき導入され、自社敷地で発電と利用を行う体制を敷く。これにより、電力供給面での運営継続性の強化につなげている。
また、南アジア地域での451台納入案件は、フジテック・インドによる現地一貫生産体制を前提としており、製造から設置まで現地で完結する運用を想定している。なお、今回の発表で再販時期や数量限定の明示はなく、単発案件としての扱いとなっている。海外子会社連携によるサプライチェーンの最適化も継続中だが、地域別の生産再編計画などは現時点で示されていない。
同社はエレベータ・エスカレータ事業において、受注から保守まで一貫した体制を維持しており、各国のグループ法人との協業を通じて運用範囲を拡げている。「Move On 5」期間中は事業効率の改善と減排対策の並行推進を掲げているが、具体的な数値目標や次期計画はこれまでの公表資料の範囲にとどまっている。
今回の四半期決算発表では、為替調整後売上高過去最高更新を明示し、国内外主要市場での受注拡大を確認したことが注目点となる。取引上は南アジアや米州の建設・公共交通需要が引き続き寄与しており、連結体制下でのバランス経営が続いている。