株式会社フジ(広島県広島市南区)は2月11日付で、2026年3月1日付の一般人事異動を実施すると発表した。異動は本部部門と店舗運営部門に及び、中国・四国・山陰・兵庫エリアの店舗運営や商品統括、管理・企画各部門の管理職を対象とする。対象は香川・徳島・愛媛・高知などの広域にわたり、複数の店長人事も発表された。
今回の異動は店舗運営の効率化と商品部門の連携強化を図るもので、フジが展開するスーパーマーケット「マルナカ」「マックスバリュ」「フジ」各ブランドをまたいだ組織再構築を意図している。生鮮・加工食品・衣料・デリカ(惣菜)などの商品統括本部に加え、店舗運営本部と管理・企画部門で新たなマネジャー体制を整え、地域密着型のサービス運営を進める動きとなる。
中四国で幅広い人事 商品本部から店舗運営まで
今回の一般人事異動は、店舗運営担当・商品担当・DS(ディスカウントストア)推進担当・管理担当・企画開発担当など多岐にわたる。
広島・山口・兵庫・四国の各ブロックで、店舗支援グループやスーパーバイザーなどの管理職が交代するほか、マルナカやマックスバリュなどの店舗で新任店長が数十人単位で登用された。異動は全社的な組織刷新となり、地域間連携の強化を目的としている。
生鮮統括本部では、畜産・農産・水産・デリカの商品部門で担当マネジャーを再配置した。
特に、広島・山口・兵庫・四国などの地域を横断するスーパーバイザーグループを再編し、仕入・販売の最適化を進める体制を整える。衣料・住居余暇・ノンフーズ統括本部でも、衣料商品部や住居余暇・H&BC商品部の部長及びグループマネジャーの異動が行われた。全体として、地域特性や店舗規模に対応する運営力の底上げを狙った配置換えとみられる。
新体制の焦点は現場連携と商品政策の一体化
株式会社フジは、中国・四国地方を中心に食品スーパーや総合小売店舗を展開している。
今回の人事では、とくに店舗支援やMD(マーチャンダイジング)推進部門の再構成が目立つ。MD推進部では、畜産・農産・水産・デリカの各カテゴリーで、ブロック別のスーパーバイザーを新設または統合し、地域ごとの販売傾向に合わせた在庫・商品戦略を担当させる。これにより、フジグループ内で異なる店舗ブランド間の調達や販売ノウハウを共有する仕組みを強化する。
また、DS推進本部では「ザ・ビッグ」などディスカウント業態の管理体制を見直し、店舗運営グループやMD推進グループのマネジャーをローテーション。広島・山口・岡山・徳島・兵庫までをカバーする新編成を整えた。
経営企画部門でも、広報・IR・関係会社戦略・建設グループなどの機能を見直し、開発や戦略立案に関わる人材を横断的に配置している。
再編の背景に競争環境の変化 デジタル運用も重視
同社は、2020年代以降イオングループの一員として再編を進める中で、マルナカ・フジ・マックスバリュなど異なる事業ブランドを一体運営へ移行してきた。
今回の一連の人事は、統合後のオペレーション精度を高める目的がある。広域店舗では、発注・物流・労務システム等の標準化を進め、グループ内のスーパーバイザー層を軸に人材の流動性を高めてきた経緯がある。
外部環境では、消費者ニーズの多様化や価格競争の激化を背景に、店舗ごとの独自性と効率性の両立が課題となっている。
特に地方都市圏では、人口構成や購買行動の変化に対応する売場構成が重要となり、地域単位でマネジメントの再編を行う動きが活発化している。こうした中で、フジが今回の異動で強化を図るのは、需給オペレーションやコスト管理、人材登用の循環といった実務面の体制整備だ。
管理・企画部門も改編 経営基盤の強化狙う
管理本部では、人事部と財務・経理部のグループマネジャーが交代し、採用・育成・会計統括を兼ねた体制とした。新設の人材育成グループは、現場マネジャー層の育成支援を担う役割を持つとされる。企画本部では、経営企画部に広報・IRと秘書機能を統合したグループを設け、情報発信や企業戦略を一体化させる方向を取った。
また、関係会社戦略部では、戦略・管理の両グループに新任マネジャーを置き、フジの関連企業との調整機能を強化した。
開発本部では、建設部の営繕グループマネジャーを新たに任命し、店舗設備や改装計画の管理を一元化。
品質管理室では、商品管理グループの責任者を昇格させ、品質基準の統一を推し進める体制を整えた。これにより、本部機能と店舗現場の連携強化を図り、商品・店舗運営の両面からトータルなマネジメントを行う構えだ。
現場力を重視する人事 地域密着型経営の推進へ
店長クラスの異動も大規模に行われ、兵庫・岡山・山陰・広島・山口・香川・徳島・愛媛・高知の各店舗で新任者が発令された。
マックスバリュ、マルナカ、フジグランなどの店長が入れ替わり、既存店の経験を生かした配置換えとなっている。地域単位の店舗統括本部を基軸に、販売現場の改善やサービス品質の均一化を進める方針だ。
フジではこれまでも、地域別本部体制の下でブランド横断的な人材登用を行ってきたが、今回の規模は直近の統合後で最大級となる。
人事担当の上席執行役員である大西文和氏が発表を取りまとめ、人材循環を通じて事業基盤を持続的に強化する方針を示している。関係者の間では、今回の異動が中期的なマネジメントの刷新に向けた布石とみられている。
今後は育成と地域運営の両立が焦点
これらの人事異動は3月1日付で発令・実施される予定だ。生鮮部門やMD推進部を中心に、各地域ブロックでの指揮系統が変わるため、店舗運営・商品開発・人材育成のバランスをどう保つかが注目点となる。
今後は、イオングループ各社との協働や人材の越境配置を生かした地域経営の高度化が続く流れの中で、新体制の運営力が問われていく。