フリー株式会社(東京都品川区)は、「freee会社設立」で、2026年2月に施行された商業登記規則の改正に対応した。土日・祝日や年末年始など行政機関の休日でも、ユーザーが希望する特定の日を会社の設立日として指定できるようになる。書類作成時の手戻りを減らし、申請準備を進めやすくする狙いがある。
今回の対応は、商業登記規則の改正に基づき、休日を設立日として指定できる新機能の提供開始に当たる。これまでの商業登記実務では設立日は法務局の開庁日に限定され、土日や祝日を設立日にできなかったが、制度改正で一定の要件を満たす場合に、申請者が特定の休日を登記日(設立日)として指定できるようになった。フリーは、画面案内に沿って必要事項を入力し、会社設立に必要な書類を作成する「freee会社設立」を通じ、作成後の提出先や作業もガイドする運用を続けている。
年間15万件の登記申請
商業登記を巡っては、法務省によると2025年の商業登記申請件数は年間約15万件で、前年比5%増となった。申請手段も電子化が進み、2025年度の電子申請比率は85%を超えた。こうした実務のデジタル移行が進む中で、2026年2月の規則改正により、一定の要件を満たす場合に休日を登記の日として指定できる枠組みが加わった。
「freee会社設立」は、ユーザーが特定の日を設立日として指定する形をとる。freeeの対応により、「大安」や「一粒万倍日」といった吉日、夫婦や家族の記念日が土日・祝日に重なる場合でも、その日を正式な会社設立日として選択できる。制度改正で新たに求められる「行政機関の休日を登記の日とすることを求める旨」および「その求める登記の日」といった特記事項の記載は、システム上で自動生成される。
サービスの来歴では、freee会社設立は2018年3月に提供を開始した。フリーはクラウド会計ソフト「freee会計」を起点に、人事労務や確定申告など周辺領域に対象を広げ、バックオフィスのクラウド化を進めてきた経緯がある。会社設立支援でも2023年12月に電子定款認証機能を追加し、登記申請のデジタル化を強化してきた。
市場環境では、経済産業省の2024年の推計で国内SaaS市場規模は2.5兆円と前年比15%増となり、バックオフィスDXが成長ドライバーの1つとされた。起業支援サービス市場は300億円規模とされ、設立手続きのオンライン化や書類作成支援がサービスの主要テーマに位置付けられている。背景には、法制度の更新と実務の電子化が並行して進んでいることもある。
特記事項を自動生成
制度改正で休日を登記日(設立日)として指定する場合、特記事項の記載が必要となる。freeeは、休日を登記日として指定する際に必要となる特記事項の記載を、システム上で自動生成する設計を採った。どの休日を設立日にするかはユーザーが特定の日を指定する。休日指定の可否は、制度改正で示された一定の要件を満たす場合に限られる。
「freee会社設立」は、画面の案内に従って必要事項を入力することで、会社設立に必要な書類を無料で作成できる。書類作成後の各種申請についても、どこに提出するのか、どのような作業が必要なのかをガイドし、会社設立に関する情報収集の手間を削減するとしている。今回の変更は、書類作成段階での入力・記載の揺れを抑え、手戻りを減らすという狙いに沿う内容となる。
同種の会社設立支援では、2026年2月の規則改正に合わせ、マネーフォワードが「マネーフォワード クラウド会社設立」で休日設立日指定機能の追加を公表している。法改正対応が各社の機能差として表れやすい領域でもあり、登記実務の電子化が進む中で、改正条文に沿った記載をどこまでシステム側で吸収できるかが焦点となる。
ユーザー側の運用では、休日を設立日に指定する場合に、制度上の要件を満たすかどうかが手続きの注目点となる。法人向けの取引管理の観点では、登記日(設立日)を休日として扱うケースが生じるため、取引先登録や契約・与信の社内ルールで参照する日付の扱いを、登記事項と突合できる形で整えておく必要が出てくる可能性がある。
