株式会社フォーラムエンジニアリング(東京都港区)は2月25日、臨時株主総会で非公開化を目的とした一連の資本政策を決議した。A種種類株式を第三者割当により発行し、資本金および資本準備金の減少、株式併合を実施する。第三者割当の払込期日を3月2日、株式併合の効力発生日を5月15日とし、これに伴い同社株式は5月13日に上場廃止となる予定だ。
今回の発表により、同社は新たにKJ003株式会社を割当先とするA種種類株式の発行を決定した。この動きは、同社が米投資ファンドKKRグループの支援を受けて実施する非公開化取引の一環であり、上場企業としての枠を離れ中長期的な事業成長を促す体制構築を狙うものだ。フォーラムエンジニアリングはエンジニア派遣を主力とする企業で、今回の非公開化後も事業展開は引き続き維持されるとみられる。
24,504百万円の第三者割当と資本減少を決定
今回の決議では、A種種類株式1株をKJ003株式会社に対して1株あたり24,504百万円で発行することを承認した。あわせて、資本金および資本準備金をそれぞれ12,252百万円減少させ、その全額をその他資本剰余金に振り替える。JapaIRの要約資料によれば、この第三者割当は非公開化後の資本構成を再構築する目的で行われ、KJ003がフォーラムエンジニアリングの親会社となる枠組みが整備される。
第三者割当後の払込が実行されることを条件に資本減少の効力が発生し、これにより財務基盤の再編を進める。
KJ003はKKR系の特定目的会社とされ、資金は親会社であるKKRグループ本体からの出資で確保されている。発行総額24,504百万円は、同業他社のM&A案件と比較しても大規模な資本取引となる。
9,920,420株を1株に併合し上場廃止へ
株式併合は、普通株式9,920,420株を1株に併合する内容で決議された。
効力発生日は5月15日、同社株式の最終売買日は5月12日、上場廃止日は5月13日が予定されている。併合により発行済株式数は4株に減少し、東京証券取引所プライム市場の上場廃止基準に該当する。
株式併合の結果として1株未満の端数が生じた場合、会社法に基づきその合計分に相当する端数相当株式を売却し、対価を株主に分配する。
端数相当株式の買受人はKJ003株式会社であり、売却価格は公開買付価格と同額である1株あたり1,710円に設定される予定だ。端数分の売却代金は2026年8月下旬頃に交付される見込みで、裁判所の許可を経て実施される。
非公開化の狙い、中長期的成長戦略へ転換
フォーラムエンジニアリングは、今回の株式併合および第三者割当を含む非公開化取引を、「上場企業としての短期的業績評価から脱し、中長期的な成長戦略を実現するため」と説明している。
同社はAI技術を活用したエンジニアマッチングサービス「コグナビ」を展開し、機電系人材の派遣、紹介、育成を手掛けてきた。2025年3月末時点で従業員は4,967人を超え、エンジニア派遣分野では国内有力企業の一つとされる。
同社は、エンジニア不足が続く製造業界で需給ギャップを埋めるための人材支援事業を展開してきたが、上場後は急速な技術革新への対応や海外展開においてスピード感の制約があった。
KKRグループの経営資源を取り込むことで、AI・デジタル関連分野への投資や人材育成の強化を推進する計画だと説明している。非公開化により、資本市場からの評価に左右されず、継続的に事業構造の転換を進めやすくする狙いがある。
同時期のM&A市場でも象徴的案件に
M&A仲介の株式会社ストライクによる集計によると、2025年11月の国内M&A取引で最大額となったのがKKRによるフォーラムエンジニアリングの公開買付けで、買付総額は約874億円と報告されている。
人材派遣業界では人材確保やAI対応の需要が高まっており、投資ファンドとの提携による再成長を図る動きが相次いでいる。フォーラムエンジニアリングの非公開化は、こうした市場再編の流れを象徴する案件の一つと位置づけられる。
一方、上場廃止によって同社株は市場で取引されなくなる。これにともない、資金調達手段が限定されるほか、市場での企業認知度低下といった影響も生じる。
ただし、同社は借入や内部資金で十分な資金運営が可能とし、経営基盤を維持できる体制にあると説明している。株主には公開買付けや端数株式売却により現金化の機会が確保される仕組みが設けられた。
今後のスケジュールと注目点
第三者割当増資の払込期日は3月2日、普通株式の最終売買日は5月12日、上場廃止日は5月13日、株式併合の効力発生日は5月15日と予定されている。端数株式の売却代金交付は8月下旬を見込む。同社は東京証券取引所から退出した後も、KKRグループ支援のもとで人材事業を継続・拡張していく方針を示した。
今後は技術者派遣事業の柔軟な展開やAI活用領域での新サービス化の動向が焦点となる。
