フェリシモ(兵庫県神戸市)は4月7日、2027年2月期の連結経常利益が前期比30.1%減の3億2700万円となる見通しを公表した。同日の東京株式市場では、9時7分時点の株価が前日比24円(2.7%)安の875円まで下落した。足元の利益水準は拡大しているものの、次期の減益予想が投資家の警戒材料となり、売りが優勢となった。
同社が7日大引け後(15時30分)に発表した2026年2月期決算では、連結経常利益が前期比2.1倍の4億6800万円となり、大幅な増益を確保した。一方で、2027年2月期の計画では3億2700万円への減益を見込んでおり、実績と見通しのギャップが市場で意識されている。
経常益2倍増の後に3割減を計画
過去5年間の連結経常利益の推移をみると、2024年2月期が2億2000万円、2025年2月期が2億1700万円、2026年2月期が4億6800万円と、直近で収益力を回復させてきた。2026年2月期は営業キャッシュフローが1億2000万円の黒字となる一方、投資キャッシュフローの赤字幅拡大が続いており、成長投資と資金負担の両立を迫られている状況がにじむ。財務面では自己資本比率が約45%と、同業他社の平均とされる50%前後をやや下回る水準にとどまっている。
2027年2月期の減益計画については、販売費の増加や人件費の上昇を主因としている。2025年2月期には原材料高騰の影響で、経常利益を当初計画比15%下方修正した経緯がある。コスト環境の変動が利益計画の上下に直結しやすい事業構造であることがうかがえ、今回もコスト要因の慎重な織り込みが響いた格好だ。
外部環境では、日本のアパレル市場規模が2026年2月期に8兆円(前年比2%減)と縮小基調が続いている。綿花価格の15%上昇に加え、1ドル=150円台の円安が継続し、輸入素材の仕入れコストを押し上げている。さらに通販比率の高まりに伴って物流費が20%増加しており、固定費・変動費の双方から収益を圧迫する構図だ。
株価に業績見通しへの警戒感
株式市場では、26年2月期の増益実績を評価する見方がある一方で、27年2月期の減益予想が株価の重荷となっている。ファッション・通販業界では、減益見通しが示された際に株価が素直に反応する局面が目立つ。TSIホールディングス(3608)は26年2月期決算で経常利益10%減益の計画を示した後、株価が3%下落した。セクター全体でも、26年2月期決算後に5社中3社が翌期の減益見通しを公表し、平均減幅は25%とされており、利益計画の下振れが株価材料になりやすい地合いが続いている。
フェリシモの今期見通しは黒字を維持する内容ながら、増益実績から一転して3割減益を見込む保守的な計画となったことで、収益の持続性に対する評価が分かれた形だ。機関投資家や個人投資家の間では、販管費や人件費をどの程度先行投資とみなすか、あるいは収益性の恒常的な低下と捉えるかが焦点になりつつある。
実務面では、販売費と人件費の増加を前提とする利益計画は、マーケティング投資や人員配置のペース、在庫運用やキャンペーン施策の採算ラインを読み解く材料になる。収益拡大とコスト抑制のバランスに対し、株式市場が一段と厳しい目を向けていることが浮き彫りになった。
コスト要因が収益を圧迫
今回の見通しが伸び悩む背景には、コスト上昇が複数の経路で同時進行している通販・アパレル業界の構造的な課題がある。消費者物価指数は2026年3月に前年比3.2%上昇し、人件費も5%程度の伸びが続いている。販売現場や物流、間接部門まで広範にコスト増が波及しており、フェリシモもコストプッシュ要因の継続を指摘している。
業界平均では自己資本比率52%、経常利益率4.2%とされるのに対し、フェリシモの経常利益率は2026年2月期で2.3%と相対的に低い。利益率が薄い企業ほど、原材料高や物流費高が損益計画に反映されやすく、減益見通しが示された際の株価の振れ幅が大きくなりやすい。為替と素材市況の変動が短期で重なりやすい局面が続くなか、1ドル=150円台の円安と綿花価格の上昇は調達コストを押し上げている。物流費の上昇も、通販の出荷量が増えるほど利益を圧迫する。
同業には、コスト高や競争激化を背景に赤字転落を契機として株価が急落した事例もある。クロスフォー(2330)は2025年2月期に経常赤字へ転落した後、株価が20%下落し、EC市場での競争激化や物流費高が要因として指摘された。フェリシモは黒字を確保する計画だが、利益計画の質が企業評価を左右する状況は共通している。
コンプライアンス面での問題が顕在化しているわけではなく、為替や資源価格など外部環境と社内のコスト構造が業績見通しに色濃く反映された格好だ。B2B取引の現場では、販売費や人件費の増加を前提とした計画を踏まえ、発注条件や在庫水準の管理、物流スキームの見直しなどを通じてコスト増の影響を抑制できるかどうかが、今後の取引継続や与信判断の重要な観点となりそうだ。
