将来宇宙輸送システム株式会社は、株式会社荏原製作所が開発を進めるロケットエンジン用電動ターボポンプを搭載した液体燃料ロケットエンジンについて、1月19日~30日に着火試験に成功したと発表した。試験は滋賀県高島市饗庭野地区で実施。宇宙往還を可能とする輸送システムの実現に向け、着火までの主要機能を確認し、開発手順や試験データの蓄積に影響しうる。
試験は「液体ロケットエンジン ポンプ組込み着火試験」とし、ISCの自社製燃焼試験設備に、ポンプを組み込んだエンジンシステムを接続して実施した。目的は、着火が可能であることに加え、計測・制御機能を含むシステム全体の成立性を確かめる点に置いた。ISCと荏原製作所の役割は、荏原製作所が電動ターボポンプの開発を進め、ISCがエンジンシステムとしての試験を自社設備で行う形をとる。ISCにとっては自社エンジン開発の取り組みの一部となる。
滋賀で1月19日~30日
成果としてISCは、着火に向けた一連のシーケンスの妥当性と着火が可能であることを確認したとしている。あわせてシステム全体の成立性を確認し、今後予定しているエンジン出力を上昇させる試験の実施に向けた各種データを収集した。日時は2026年1月19日~1月30日とした。
電動ターボポンプは、バッテリーの電力でモーターを回転させてポンプを駆動する方式と説明した。ISCは、これにより燃料供給流路が主燃焼室への一系統に集約され、動力源も燃焼器から電動モーターに置き換わることで燃焼サイクルが簡素化され、制御も容易になるとしている。動力部と通液部の温度差が低減され、熱対策や密封保持の設計難度が緩和される点にも触れた。
ISCは、2024年10月の開発開始から約15か月の短期間で、設計・製造・各コンポーネントの単体試験を経て今回のマイルストーンに至ったとしている。開発手法としてアジャイル型の導入、独自の研究・開発プラットフォーム「P4SD」の活用も挙げた。
荏原製作所は2025年9月に、液体燃料および液体酸素を用いた性能試験を完了し、ポンプシステムの機能性と耐久性を確認したとしている。ISCは、この成果を受け、両社が次段階として燃料・酸化剤を用いた液体ロケットエンジンとの連動着火試験を実施したと説明した。
荏原と24年9月連携
ISCと荏原製作所は、従来のターボポンプがポンプ駆動用燃焼器の高温高圧ガスでタービンを回し、燃料供給や熱対策、密封保持、燃焼システム全体の制御が複雑になりやすい点を課題として挙げた。こうした点が開発難度・期間・コストの増大要因となるとして、課題解決に向けた枠組みを整えた。
両社は2024年9月に包括連携協定を締結し、荏原製作所が開発する電動ターボポンプの研究・開発を共同で推進してきた。今回の試験は、エンジンシステムに電動ターボポンプを組み込み、着火に至る主要機能の確認を行った工程となる。
供給・運用の枠組み
試験はISCの自社製燃焼試験設備に接続して行う形をとった。期間は1月19日~30日とした。
協業の枠組みでは、電動ターボポンプは荏原製作所が開発を進める機器とされ、ISCは当該ポンプを搭載した液体燃料ロケットエンジンの着火試験を実施した。試験の目的には、着火の可否に加え、計測・制御機能を含むシステム全体の成立性の確認が含まれる。
今後の手順としてISCは、燃焼を伴わない条件でポンプを昇速し、推進剤流量を増大させる試験を実施する予定だ。過渡特性や定格流量に達するまでの時間が想定値内かを評価し、結果をもとに適切な制御パラメータを定めた後、エンジンに着火させて出力を段階的に上げる試験へ進むとしている。
次段階は流量増大試験
ISCは今回の成功により、液体ロケットエンジンシステムの着火が可能であることを確認し、エンジン出力を上げる準備が整ったとしている。今後の工程は、燃焼を伴わない条件でのポンプ昇速と推進剤流量の増大、過渡特性や定格流量到達時間の評価、制御パラメータの設定、着火と出力を段階的に上げる試験の順で示した。
