NTTドコモは5月8日、「2025年度決算および2026年度業績予想説明会」で、通信料金の値上げ(価格改定)に向けた検討を進めていると明らかにした。対象はオンライン専用プラン「ahamo」単体ではなく、料金プラン全体と位置づける。影響は同社の既存契約者を含む広い利用者層に及ぶ可能性がある。外部流出や拡散に関する説明はなく、公式の場で方針を示した。プラン再編の進め方次第で、利用者の手続き負荷や社内の運用負荷が変わりうる点が波及しそうだ。
質疑応答で、他社が実質的な値上げに踏み切るなかでドコモが追随していない理由を問われた前田義晃社長は、「何か要因があって今できませんと言っているわけではない」と述べた。そのうえで、同社でもコスト上昇が進んでいる事実を挙げ、「全体としてどのように価格改定をしていくかは考えなければいけない状態だ」と説明した。ドコモが自社の料金体系全体を対象に、改定の設計を検討する局面に入った形だ。
25プランの運用負荷
前田氏は、料金改定の対象について「ahamo」単体ではなく、ドコモの料金プラン全体の話として検討していると強調した。
足元で料金改定に踏み切っていない点については、実施できない要因があるわけではないとしつつ、同社としてもコストが上がっていると説明した。結果として、価格改定をどう進めるかを検討する必要があるとの認識を示した。
一方で、改定の実施に向けた大きなハードルに「プランの複雑さ」を挙げた。前田氏によると、同社には古いプランも含めて現在25プランほどが存在し、それぞれ提供条件が異なる。運用負荷が相当高まっているという。
単に値上げを行うのではなく、プランをどう扱い、利用者の理解を得られる形で変更するかを「しっかり考えなければいけない」と述べ、プラン再編と一体での設計を重視する姿勢を示した。
改定時期は明言避け
具体的な値上げのタイミングについて前田氏は慎重な姿勢を示した。
システムの改修コストなども踏まえると簡単な話ではないとの見方を示し、どの時点で実施できるかも含めて「検討中という状況」と述べた。改定実施の具体時期は明言を避けた。
物価高で見直し圧力
物価高などを背景に通信コストの上昇が避けられないとの問題意識が示されるなか、ドコモがどのようにプランを整理し、利用者が納得する形での価格改定に着地させるかが焦点だ。
前田氏は、料金改定はプラン全体で考えるとしたうえで、25種類ほどの既存プランの複雑さが課題であり、利用者の理解を得られる形での整理を重視する姿勢をにじませた。
取引実務で注目点
法人の通信回線をドコモの複数プランで運用している場合、改定が「ahamo」単体ではなく料金プラン全体を対象に検討されている点は、影響範囲の見極めに直結する。
加えて、同社が課題として挙げたプランの複雑さとシステム改修コストは、制度設計と運用の両面が連動しやすい領域であり、実施時期が明言されていないことも踏まえ、運用変更の形と周知の進め方が論点として残る。
通信コスト上昇への対応が避けにくい環境下で、ドコモがプラン再編を伴う料金改定の設計をどこまで具体化できるかが、次の局面を左右しそうだ。
