株式会社NTTドコモは5月8日、2025年度決算の説明にあわせ、7月に新会社「NTTドコモ・フィナンシャルグループ」(ドコモFG)を設立し、dカードやd払い、住信SBIネット銀行、マネックス証券などグループの金融事業を集約すると明らかにした。設立と集約に向けた公式な方針も示した。銀行と決済を一体で展開する構えで、顧客接点やサービス運用の組み立てに波及しそうだ。
ドコモFGは、ドコモグループの金融事業を担う中核会社に位置づける。dカード、d払いに加え、住信SBIネット銀行やマネックス証券など、ドコモの金融事業を新会社のもとに束ねる。金融分野に特化した経営体制を構築し、銀行サービスと決済サービスを一気通貫で展開することが狙いだ。ドコモは金融を軸にスマートライフ事業の拡大を図る構えで、通信とのクロスユース拡大も含め、グループ内の運営の組み替えとして進める。
スマートライフ1.2兆円へ
ドコモはスマートライフ事業の営業収益について、2025年度の約5,965億円から2030年度に1.2兆円へ倍増を目指す方針を示した。
金融を中心に拡大を図る計画で、今回のドコモFG設立と金融事業の集約は、そのための体制面の手当てとなる。銀行サービスとdカード、d払いなどの決済サービスを一体で展開し、預金額や決済金額の拡大を図るとしている。
あわせて、融資、保険、投資で最適なサービスを進める「金融AIエージェント」を構築する方針も掲げた。銀行と決済を貫く設計により、金融サービスの展開を一気通貫にする考えで、通信とのクロスユース拡大を図る。金融領域に経営資源を寄せることで、サービス設計や意思決定の速度を高める狙いがにじむ。
ドコモMAX300万件突破
通信分野では、MNPが2025年度下期にプラス化した。
上位プランの「ドコモMAX」は、目標としていた300万件を突破した。ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)は対前年で20円増の3,960円となった。2026年度は減収が「底打ち間近」(NTTドコモ前田義晃社長)とし、反転を目指す方針を示した。
2026年度に向けては、「ドコモMAX」や光回線契約、でんき・ガスなどのイエナカ、金融サービス連携の強化を通じ、「エンゲージメントの高い顧客基盤」の拡大を図る。
ロイヤルユーザーは2,000万人を目標に据えた。加えて、ドコモMAXの2026年度目標は500万、ARPUは50円増の4,010円としている。
ahamo800万超と料金再検討
一方で、ドコモの新規契約の「半数強」は、データ30GBの「ahamo」で、契約数は800万以上となっている。KDDIやソフトバンクが通信料金の値上げを行なうなか、ahamoの値上げの可能性を問われた前田社長は、料金はahamo単体で考えるものではないと説明したうえで、コスト上昇は事実だと述べ、全体としてどのように価格改定するかは考える必要があるとの認識を示した。
前田社長は、値上げについて「否定はできない」と言及した。ドコモには26の料金プランがあり、運用負荷が高いとも説明し、全体をどのように整理して顧客に理解を得るかが課題になるとの見方を示した。
さらに、システム対応も必要になるとし、実施時点も含めて検討中だとした。
Lemino視聴100万人規模
スマートライフ関連では、5月2日に動画配信サービス「Lemino」で配信したボクシングの井上尚弥×中谷潤人戦について、視聴者数は「100万人ぐらい」だったとした。
PPVとしては日本最高だと述べ、ドコモMAX契約者も相当数が視聴したとの認識を示した。通信の上位プランとコンテンツの接点づくりを進める姿勢がうかがえる。
取引・運用面でみると、7月に設立するドコモFGのもとで、dカード、d払い、住信SBIネット銀行、マネックス証券などを集約するため、サービス提供主体や運営主体の位置づけが切り替わる局面が出る。
通信料金についても、全体の価格改定やプラン整理、システム対応に言及しており、各サービスの適用条件や手続き単位の整合が主要なテーマとなる。
