株式会社電通総研(東京都港区)は、統合HCMソリューション「POSITIVE(ポジティブ)」の給与デジタル払い機能を拡張し、株式会社大創産業へ導入する。大創産業の従業員は、給与の受け取り先として従来の銀行口座に加え、「楽天ペイ」と「PayPay」を選択できる予定だ。開始は5月を予定し、従業員側の受取手段の選択肢が広がる形となる。
今回の拡張は、厚生労働省により制度化された給与デジタル払いスキームへの対応が目的となる。電通総研は、特定の決済サービスに限定しない形で、複数の資金移動サービスへの対応を実現したとしている。大創産業は、全国に広がる店舗ネットワークで働く従業員の人事・給与業務基盤として、10年にわたり「POSITIVE」を利用してきた経緯がある。
POSITIVEは3,000社超
電通総研によると、「POSITIVE」を中核とするHCMソリューションは3,000社以上の導入実績がある。大創産業では、給与受け取り先の選択肢として、銀行口座に加え「楽天ペイ」「PayPay」を並列で用意する計画を示している。給与支払いの受け皿に資金移動サービスを組み込む運用は、従業員の受取手段を増やす一方、企業側には同意取得や振込処理などの実務対応が伴う。
電通総研は「POSITIVE」を基幹人事・給与・就業管理に加え、タレントマネジメントやモバイル対応まで含む統合HCMとして展開してきた。大手・中堅企業向けの人事シェアードサービス基盤に採用される例があるという。大創産業が長期にわたり利用してきた既存基盤に対し、制度要件に沿う機能拡張を重ねる形で、給与デジタル払い導入へつなげる。
給与デジタル払いは、資金移動業者の口座へ賃金を支払う枠組みとして制度化されている。今回の導入で対象となる「PayPay給与受取」「楽天ペイ給与受取」は、厚生労働大臣から賃金デジタル払い対応の資金移動業者として指定を受けたサービスに位置付く。制度の整備が進むなかで、企業の給与支払い実務と決済インフラをどう接続するかが、人事・労務システム側の論点となってきた。
電通総研が進める拡張は、特定の1社に依存しない構成を掲げ、複数の資金移動サービスへの対応を広げる点に特徴がある。制度面では資金移動業者の指定が前提となり、企業側は従業員の同意や必要事項の取得など、支払い方法の選択に伴う手続きを整える必要がある。こうした要件をシステム上で扱えるかが、導入の実務を左右する要素となる。
振込処理まで一体対応
「POSITIVE」の給与デジタル払い対応機能は、従業員からの同意および必要事項の取得、給与計算、各種指定資金移動サービスなどへの振込処理に対応する。電通総研は2025年2月からPayPay株式会社の「PayPay給与受取」への対応を開始し、同年3月には楽天Edy株式会社の「楽天ペイ給与受取」にも対応した。大創産業向けの導入では、銀行口座と資金移動サービスを並列で扱う運用を想定し、従業員が受取先を選択できる形をとる予定だ。
電通総研は今後、auペイメント株式会社の「au PAY給与受取」をはじめとする各種資金移動サービスにも順次対応していく予定だ。大創産業は給与デジタル払いを選択できる体制を整える方針を示し、従業員のライフスタイルに合わせた給与受取環境の整備を掲げる。
厚生労働省が制度化した賃金のデジタル払いに対応する必要性が、今回の拡張の根拠として示されている。電通総研は、自社開発した「POSITIVE」の機能拡充に継続的に取り組む考えを示しており、大創産業向けに給与デジタル払い機能の拡張を進める流れとなっている。
注目点は、制度化された給与デジタル払いを、既存の人事・給与基盤上でどのように実装し、従業員の同意取得から振込処理までを一体で回す運用に落とし込むかにある。取引管理や法人営業の観点では、資金移動サービスごとに必要事項の取得範囲や振込処理の手順がシステム側の対応範囲に含まれる形となるため、導入企業ごとの対象範囲と開始月の扱いが論点となり得る。電通総研は大創産業に対し、5月開始を予定する給与デジタル払い導入に合わせて「POSITIVE」の機能拡張を進める。
