株式会社電通総研は2月26日、社外取締役の独立役員届出を提出した。3月23日の定時株主総会で社外役員の選任議案が付議される予定だ。届出書では、独立役員の該当状況を「該当なし」とした。新任の社外取締役を含む体制となる。取引関係による利益相反の恐れはないとしており、独立性の担保がガバナンス運営に波及する。
電通総研は、同届出書で社外取締役7人を独立役員として届け出た。新任は2人で、異動(予定)日は3月23日とした。社外役員については、本人および近親者が現在および過去において経営陣から独立した存在である点や、一般株主と利益相反が生じる恐れがない点を明記した。社外役員の独立性基準を満たすことを前提に、業務執行の監督機能を強める狙いを示した。
電通総研が独立役員7人届出
届出書の「独立役員・社外役員の独立性に関する事項」では、社外取締役7人について独立役員の該当状況を「該当なし」とし、独立性に問題がないとの整理を示した。うち2人は新任で、社外取締役の欄に「新任」と記載した。
提出日は2月26日で、3月23日の定時株主総会に社外役員の選任議案が付議されることが提出理由となる。
社外役員ごとの選任理由では、IT、財務・資本政策、税務、企業経営、会計監査、法務など、異なる専門性を挙げた。
例えば大野正人は、学術情報ネットワークやサイバーインフラなどIT分野の専門家で、大学や研究機構などで教育・研究の実績があるとした。地方自治体のスマートシティプロジェクトへの参画経験にも触れ、ITの地域・行政との連携や社会実装に関する知見を見込む。
新任2人、ITと財務の知見
新任の社外取締役は、IT分野の専門性を持つ人材と、財務・資本政策に関する実務経験を持つ人材を含む。IT分野では、大学や研究機構での実績に加え、自治体のスマートシティプロジェクト参画など、行政との連携や社会実装の経験を評価した。過去に会社経営に関与した経験はないが、独立した立場から業務執行を監督し、有用な提言が期待できるとしている。
財務面では、複数の金融機関でM&A案件や戦略投資に携わった経験を挙げ、財務・資本政策の知見を評価した。事業会社で取締役として管理部門を管掌し、業績および企業価値の向上に貢献した点や、他の上場企業で社外役員を務めた経験も記載した。2025年3月から電通総研の指名・報酬委員会の委員長を務めている点も示し、継続して監督機能を担う位置づけを明確にした。
KMPG退職後の独立性説明
独立性に関する説明では、当社取引先であるKMPG税理士法人にパートナーとして所属していた社外役員がいると明記した。
2023年1月に退職しており、当該法人との取引額は電通総研が定める「社外役員の独立性判断基準」で定める金額を下回るとして、独立性に問題はないとの判断を示した。税務分野の高い知見と豊富な実務経験を評価し、独立した立場からの提言と監督機能を見込む。
そのほか、国内の金融機関でコーポレートファイナンスや国際業務に携わった後、国際税務分野での経験を積み、2005年から税理士法人のパートナーに就任した人材についても、税務の専門性を理由に挙げた。
国内IT企業の代表取締役社長としての経営経験や国際ビジネスの知識、他社の社外取締役経験を持つ人材についても、同様に独立性を満たすと整理した。
独立性基準に10%と2%条項
電通総研は社外役員の独立性判断基準を示し、東京証券取引所の独立役員要件に加えて、一定の条件に該当しない場合に独立性を有すると判断するとした。具体的には、(1) 直接・間接に10%以上の議決権を保有する大株主またはその業務執行者、(2) 過去3事業年度のいずれか1事業年度において取引額が連結売上高の2%に相当する金額を超える取引先の業務執行者に該当しないことを条件とした。
今回の独立役員届出では、こうした基準に照らして利益相反の恐れがないことを繰り返し明記した。
社外役員の全員について独立役員の資格を満たす者を独立役員に指定しているとし、ガバナンス体制の設計上は社外取締役による監督機能を前面に出した。
取引管理の観点では、独立性判断基準が大株主の議決権比率や取引額の基準に連動しているため、社外役員の就任後も取引先区分の変動や取引額の増減が、独立性判断に与える影響が注目点となる。
