イグニション・ポイント株式会社(東京都渋谷区)を含む国内電通グループの5社は、人的資本領域の成長を支援する横断組織「dentsu Japan Human Capital Growthセンター」を設立した。各社の専門人財とケイパビリティを結集し、クライアントの人財・組織変革や企業文化変革を包括的に支援する。人的資本経営の推進や人的資本情報の開示義務化が進むなか、制度導入と現場の運用をつなぐ支援体制を打ち出した。
同センターは、事業と人事、戦略と施策などの要素をつなぎ合わせ、「一つのストーリーで人と組織の熱量を上げ」る形で支援する方針を示した。国内電通グループ内の複数社が役割を分担し、構想から施策実装までを一体で扱う構えだ。人的資本情報の開示対応と新たな制度・システム導入が進む一方で、社員のエンゲージメント低下やデータ活用不足などの相談が寄せられている点を、設立の理由に挙げている。国内電通グループの人的資本・組織領域の支援体制を横断で束ねる動きとなる。
5社連携で支援統合
同センターは、イグニション・ポイント、株式会社電通、株式会社電通総研、株式会社電通デジタル、株式会社セプテーニ・ホールディングスの国内電通グループ5社で設立した。既存の提供内容には、人的資本経営を事業成長に着実に結びつけるCHRO支援プログラム「HR For Growth」、企業文化創出を支援する「Culture For Growth」、採用ブランディングが含まれる。グループ内の取り組みでは、転職・就職のための情報プラットフォーム「OpenWork」が発表する「働きがいのある企業ランキング」に触れ、従業員の環境づくりを推進してきたとしている。
電通グループは人的資本・組織領域で、個別施策の提供も進めてきた。2023年10月12日に「HR For Growth」を提供開始し、2024年7月2日には「Culture For Growth」の提供開始を公表した。2024年2月2日には、Z世代採用を対象とした「採用ブランディングエキスパート」コンサルティングチームの発足も示している。今回の横断組織は、こうした取り組み群を束ね、企業側の制度対応と現場のエンゲージメント、AI・データ活用の相談を同一の枠組みで受け止める体制づくりに当たる。
人的資本領域では、人的資本情報の開示義務化が企業の情報開示実務を押し上げ、同時に制度・システム導入も広がっている。一方で、開示対応が先行し、社員のエンゲージメント低下やデータ活用不足といった運用面の課題が表面化する場面もあるという。広告・コンサル業界では、HR領域でのAI活用やデータ分析の適用が加速する局面に入り、人的資本・エンゲージメントを高めるためのプロセスを分析し、戦略策定とアクションにつなげる支援ニーズが増えているとされる。背景には、企業内での制度導入が進んだ後に、実装と定着をどのように進めるかが問われる状況がある。
AI分析と共同研究枠組み
同センターは、電通のビジネス・トランスフォーメーション、マーケティング、ビジネスプロデュースの各組織、電通総研のHCM本部、電通デジタルのトランスフォーメーションストラテジー部門、セプテーニ・ホールディングス傘下の人的資産研究所などから、当領域のケイパビリティと実績のあるメンバーが一つのチームとして集い、統合的なサービスを提供する形をとる。5社連携の枠組みの下で、組織変革、企業文化変革、採用領域までを含む支援を横断で組み立てる。
運用面では、AI・データ活用を拡張し、人的資本・エンゲージメントを高めるためのプロセスをAIで分析し、戦略策定とアクションにつなげるための支援スキームを構築する方向性を示した。あわせて、大学や研究機関との共同研究を通じて、人的資本経営の新たな知見を蓄積、発信していくとしている。提供の形は、各社に分散する専門組織を束ねた体制の下で進める構えで、統合的なサービス提供という設計に沿ってメンバーを編成する。
今後の焦点は、各社の専門組織を束ねた体制の下で、AI・データ活用の拡張や共同研究の枠組みをどこまで運用に落とし込むかに移る。取引管理・法人営業の観点では、5社のどの機能がどの領域を担う形で提供されるか、大学・研究機関との共同研究を含む支援スキームがどの範囲で適用されるかが注目点となり、人的資本・組織領域の支援体制を横断で束ねる動きが続く。
