株式会社電通(東京都港区)、株式会社電通デジタル、株式会社D2Cの3社は、NTTドコモが保有するドコモデータを基盤としたデータクリーンルーム「docomo data square®」を用いた次世代型広告配信ソリューションの本格提供を始める。2024年11月から検証してきた取り組みで、運用型広告の顧客獲得単価(CPA)の改善や、企業のマーケティングROIの向上につなげる狙いがある。
ソリューションは、ドコモが保有する大規模データを広告配信プラットフォームの自動学習機能に対する「学習のシグナル(判断材料)」として連携させる点を特徴とする。ドコモデータを多次元的に組み合わせて学習し、高精度な見込み顧客リストを生成。リストを配信対象の指定にとどめず、プラットフォームAIが最適化を行うための学習シグナルとして活用し、より精度の高い顧客抽出を図る。3社にとっては、ドコモデータと広告配信プラットフォームの自動学習をつなぐ運用型広告の新たな枠組みとなる。
約20社で連携導入
本ソリューションは、Googleが提供する運用型広告メニュー「Performance Max(P-MAX)」のオーディエンス シグナル機能などと連携し、すでに約20社で導入が進んでいる。P-MAXは複数チャネルを横断して配信する広告メニューで、オーディエンス シグナルは配信の初期学習に用いる情報の一つとなる。ドコモデータを学習シグナルとして自動学習に組み込む今回の取り組みは、運用型広告の高度化に向けた連携強化の一環と位置づけられる。
外部データを活用したAI学習の設計では、見込み顧客リストを「配信対象の指定」に限定せず、最適化プロセス全体の判断材料として活用する設計が鍵となる。ドコモデータを多次元で組み合わせ、広告配信プラットフォームの自動学習と接続することで、ターゲティングの精度向上と成果最大化を狙う考え方だ。
広告市場では、日本の総広告費が8兆623億円、インターネット広告費が4兆459億円とされ、インターネット広告が総広告費の過半を占める。動画広告は1兆円を超え、インターネット広告費の構成比でも3割超に達する。運用型広告の比重が高まるなか、AIの自動学習に与えるシグナルの設計や、データクリーンルームを介したデータ連携の整備が、広告主・代理店双方の実務上の重要な論点になっている。
電通グループは、ドコモデータ活用の検証を2024年11月から進めてきた。今回の本格提供は、検証フェーズで蓄積した知見を踏まえ、実運用に耐える形でのサービス展開に踏み切るものとなる。データクリーンルーム「docomo data square®」は、NTTドコモの保有データを基盤とし、広告配信側への生データの直接移転を前提としない形での分析・連携を可能にする受け皿となる。
業界内では、運用型広告でCPAの改善やROI向上を求める動きと、プラットフォームの自動学習を補完するデータ連携の整備が並行して進んでいる。電通デジタルとD2Cの協業でも、ドコモデータを活用した運用でCPAが20%改善した事例があるなど、従来手法では捉えにくい見込み顧客へのアプローチが進展してきた。データクリーンルームを介してAI学習のシグナルを強化する設計は、こうした流れをさらに押し広げる取り組みといえる。
D2Cが連携支援担う
データ連携のプロセスでは、D2Cが広告配信プラットフォームへのシームレスなデータ連携と、広告効果の最大化に向けた支援を担う。具体的には、データ接続サービス「D2C Data Connect」(DDC)のメニュー提供を通じた連携に加え、ドコモの豊富な説明変数を用いた予測モデルの構築を支援する。D2Cは2000年6月1日設立で、NTTドコモ・電通・NTTアドの3社合弁企業として、NTTドコモ保有データを起点とした広告マーケティングソリューションの企画開発を主軸に展開してきた。
体制面では、D2Cがデータ連携や予測モデル構築の支援を担い、3社がデータ解析力やプラットフォームとの連携技術、広告運用ノウハウを融合させる方針だ。docomo data square®を用いることで、ドコモデータを学習シグナルとして広告配信プラットフォームの自動学習に連携させ、見込み顧客リストの生成とAI学習の双方を連動させる。
今回の取り組みでは、広告配信プラットフォーム側の自動学習にどの情報を学習シグナルとして渡すかが焦点となる。取引管理や法人営業の観点では、DDCを介したデータ連携と予測モデル構築支援の役割分担を前提に、どの広告配信プラットフォームのメニューとどのような形で連携するかが、導入企業の運用設計に関わる論点となる。3社は、docomo data square®を活用した次世代型広告配信ソリューションの本格提供により、運用型広告の成果向上とデータ活用の高度化を同時に進める構えだ。
