株式会社大創産業(広島県東広島市)は経済産業省が実施する「令和7年度製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2025)」で、「審査委員会賞」を受賞した。同社が国内外の生産拠点で構築した品質・安全管理体制や消費者への啓発活動が評価された。
今回の表彰は、製品そのものではなく企業としての安全活動を対象とするもので、大創産業は小売販売事業者部門での受賞となる。業界初となる品質管理部の設置やグローバルな監査体制の整備が、持続的な製品安全文化を形成するうえで模範的だとされた。
品質管理部の設立により安全体制を強化
大創産業は、全社横断的に製品安全を統括する「品質管理部」を業界に先駆けて新設。
商品化前の試験を徹底し、基準に満たないものは販売しない制度を整えた。
年間では数万点に及ぶ商品サンプルを検証しており、独自の「商品品質基準書」に基づいて適合判定を行う。これにより、製品の多様化と大量流通を前提とした小売企業として、高水準の安全基準を自主的に運用している。
加えて、同社が扱うプライベートブランド(PB)製品については、海外の取引先数千社に対してCSR工場監査を実施する。取引契約上も、工場変更には事前許可を必須とし、現地拠点での生産管理チームが監督を担う仕組みを導入した。
海外生産拠点での管理徹底は、グローバル展開を続ける同社にとって安全確保の要とされる。
安全啓発と情報発信を両輪に
安全意識の社内浸透に加え、消費者への周知も重視している。自社サイト「DAISOあんしんラボ」では、製品の取扱注意点や誤使用防止のための動画を継続的に配信。事故防止やリスク情報を積極的に公開することで、利用者の安全理解を促進している。
また、ファンコミュニティ「DAISOの輪」では製品安全に関する情報交換を行い、企業・顧客双方の安全意識の共有を進めている。
これらの活動により、消費者が安心して利用できる環境を整えるとともに、社外への透明な情報提供を通じてブランド信頼性を高めている。
審査委員会は、経営トップが主導する安全文化の定着と、企業間・顧客間での双方向的な啓発活動を高く評価した。
事業規模と体制拡大、品質方針に一貫性
大創産業は1977年設立。広島県東広島市に本社を置き、「DAISO」「Standard Products」「THREEPPY」などを展開する。
2025年2月時点で世界26の国・地域に合計5,670店舗を展開し、売上高は連結で7,242億円。
生活雑貨から趣味商品まで年間約5万点超の取扱品目を抱えるグローバル小売企業だ。
増加する商品と流通量の中で、品質管理体制を高度化する必要が生じていた。
これを受け、同社は組織・制度の両面で安全対策を進めた。
国内では製品試験の統一手順を整備し、海外では認定工場の一元管理を実施。リスクを部門横断で共有する仕組みを構築したことが、今回の受賞に直結したとみられる。
流通業全体で高まる安全意識と対応
小売・製造の各業界では、製品事故や顧客対応のリスク低減を目的とした組織的対応が広がっている。
特に大手小売企業の間では、製品安全を生産管理の枠を超え、サプライチェーン全体で担保する取り組みが加速している。経産省のPSアワードでは、象印マホービンなど製造業の大手も同年度に受賞しており、業種を横断した安全意識の高まりが鮮明だ。
また近年は、顧客からの不当な要求や暴言など「カスタマーハラスメント」への対応方針を明示する企業も増加している。
大創産業も他の小売業と同様、暴力や脅迫、SNS投稿による嫌がらせなどを「不当行為」と定義し、悪質な場合は警察や弁護士と連携して対応する方針を示している。
従業員の安全確保と職場環境の健全化は、製品安全対策と両輪の課題として扱われている。
経営トップ主導で安全文化を醸成
同社の取り組みは、経営層が明確な指揮を執る点に特徴がある。
品質管理部の新設やCSR監査体制の導入は、経営判断の迅速化を目的としており、現場にとどまらない企業文化として根付かせる方針だ。
経営トップの矢野靖二社長は、膨大な商品を扱う中で「安全で安心して使える商品を届けることを最重要課題」と位置づけている。
今回の受賞を契機に、同社は製品安全文化のさらなる浸透を目指す構えだ。
店舗運営や商品企画の現場においても、製品試験や事故予防策を日常業務に組み込む体制が進んでいる。
大創産業は今後も「感動品質」の理念を掲げ、安全性と品質の両立を進める考えだ。
グローバル供給網の拡大に伴い、工場変更や部材調達など、実務面での管理徹底が鍵になるとみられる。
今回の表彰は、国内小売企業の海外調達モデルにおける安全運用の水準を示す事例として、他社の参考にもなりそうだ。