大黒天物産(岡山県)は19日、ディスカウントスーパー「ラ・ムー甲府徳行店」(山梨県甲府市)をオープンした。首都圏への出店は初となる。「ラ・ムー」は弁当や総菜、パン類などを低価格で販売する業態で、人気商品を前面に打ち出す。
首都圏で初の店舗開業
甲府市徳行4-12-5に開業した「ラ・ムー甲府徳行店」は、24時間営業で店舗面積は521坪。中央自動車道甲府昭和インターチェンジから車で5分、国道20号甲府バイパス沿いに位置し、広域からの集客を見込む立地だ。
オープン当日は朝から約200人が列をつくり、開店時刻を20分前倒しして対応した。弁当や総菜、パン類の低価格販売を打ち出したほか、同社として首都圏初進出となる点も重なり、関心を集めた。店舗周辺では、1キロ圏内にバロー甲府昭和店やアマノパークス甲府バイパス店、2キロ圏内にいちやまマート、オギノ、イトーヨーカドーなどが立地し、日常需要を取り込む商圏で競合店が集積している。
同じ山梨県内では18日、トライアルホールディングス(福岡県)が「スーパーセンタートライアル石和店」(山梨県笛吹市)を開業した。スマートストアとして「レジカート」や「インストアサイネージ」を本格導入し、セルフレジや電子棚札などデジタル技術を活用した売り場運営を進める。ディスカウント色の強い新店が短期間に相次いだことで、県内の食品小売りの競争環境は転機を迎えつつある。
低価格運営と出店エリア拡大
大黒天物産は子会社の西源を通じて「ラ・ムー」を運営し、西日本を中心に約250店を展開してきた。自社工場で製造した弁当や総菜、パン類を大量販売することで原価を抑え、24時間営業や広い売り場と組み合わせた低価格運営を特徴としている。
長野県や岐阜県など内陸部への出店を進めてきた中で、山梨県への進出はチェーンの東方展開を一段と進める布石となる。物流網の延伸や商品調達の効率化といった課題を抱えつつも、物価高が続くなかで価格訴求力の高い店舗フォーマットを首都圏近郊に投入することで、新たな顧客層の獲得を狙う。
首都圏周辺では3月、サンベルクスが東京都足立区で新店を開業し、マミーマートが埼玉県さいたま市で「生鮮市場TOP」の新店舗を出すなど、食品スーパーの新規出店が相次ぐ。山梨でも大黒天物産とトライアルホールディングスがともに24時間営業の大型店を投入し、営業時間や売り場規模、価格帯、プライベートブランドの充実度などを巡る競争が一段と激しくなっている。
物価上昇が家計を圧迫するなか、弁当・総菜・パン類といった購買頻度の高いカテゴリーを低価格でそろえるディスカウント型スーパーは、来店動機を高めやすいとされる。大黒天物産は首都圏での初出店を足がかりに、商圏の広がりや競合店との価格比較を見極めながら、今後の出店ペースやエリア戦略を検討するとみられる。
