第一工業製薬株式会社(京都市)は2月24日、2026年4月1日付で組織改編と役員・部長級の人事異動を実施すると発表した。事業本部に新組織を設けるほか、ライフサイエンス本部の機能統合、研究組織の編成変更を含む。業績や顧客対応などへの影響範囲は組織運営と研究開発体制に及び、外部への情報流出や拡散があったとの記載はない。会社としては組織変更と人事を同時に実施し、部門横断の連携を強める構えで、意思決定と実行の速度に影響を与えうる。
今回の改編は、第一工業製薬が2025年4月に開始した新中期経営計画「SMART 2030」の実現を加速する狙いがある。各部門の役割・体制を最適化し、部門横断的な連携機能の強化を推進する組織体制へ改める。事業本部は横串機能を強化し、ライフサイエンス本部は企画と営業を統合して市場対応の即応性を高める位置づけだ。研究面では京都中央研究所の体制を見直し、技術知見の循環と相乗効果を最大化する枠組みにするためだ。
第一工業製薬が横串強化
組織変更の柱の一つは、事業本部内の横串機能の強化だ。
事業効率および競争力の向上を目的に「事業企画部」を新設する。組織図では事業本部の直下に事業企画部を置き、市場開発部、電子・情報事業部、環境・エネルギー事業部、コア・マテリアル事業部、国際攻略部、事業サポート部、資材部などと並ぶ形で配置する。
人事面でも新設部門を含む職務・職掌の見直しを進める。
2026年4月1日付で、後藤太一氏が事業本部の事業企画部長に就く。後藤氏は現職で電子・情報事業部の電子・情報営業部長を務めており、営業の現場に近い機能から、事業本部全体を横断する企画機能へ役割を移すことになる。市場開発部長には小石克也氏が就任する。小石氏は事業サポート部のマーケティンググループ長からの異動で、事業本部内で市場開発の位置づけを明確にする。
ライフサイ本部を統合再編
ライフサイエンス本部では、「企画部」と「営業部」を統合し「企画マーケティング部」を設置する。
顧客ニーズを即座に戦略へ反映させ、実行力を高めることで収益の最大化を図るとする。組織図上は、ライフサイエンス本部の配下に企画マーケティング部、研究部、製造部を置き、関連会社として池田薬草(株)を記載している。
人事では宮本久喜三氏が、ライフサイエンス本部の副本部長を兼ねて企画マーケティング部長に就く。
宮本氏は旧職が社長付で、今回の統合部門の責任者として企画と顧客対応の接点を束ねる。組織改編と人事を同時に実行することで、統合後の意思決定ラインと実行責任を早期に定める形となる。
京都中央研究所に編入実施
研究開発体制では、京都中央研究所へ(株)バイオコクーン研究所を編入する。
狙いは、技術知見の循環と相乗効果を最大化し、研究開発の加速と強化を図ることにある。組織図では京都中央研究所の下に、研究管理部、知的財産部、価値創造研究部、コーポレート研究部、(株)バイオコクーン研究所を配置し、生産技術研究所(生産技術部、製品技術部)とは別建ての研究組織として示している。
人事面では、正司武嗣氏が執行役員として京都中央研究所長に就く。
研究所内の部門でも異動があり、齊藤恭輝氏が京都中央研究所の価値創造研究部長に就任する。齊藤氏は生産技術研究所の製品技術部長からの異動で、生産寄りの技術部門から価値創造研究へ役割が変わる。生産技術研究所の製品技術部長には藤瀬圭一氏が就任し、藤瀬氏は製品技術部の技術担当部長から昇格する。
4月1日付で役員人事も
役員人事では、清水伸二氏が専務取締役に就任し、代表取締役は継続する。清水氏の旧職は常務取締役で、経営体制の中での職位が上がる。
事業部門では、大湾二郎氏が執行役員として事業本部の電子・情報事業部長を担いながら、電子・情報営業部長を兼務する。営業機能を部門長が直接担う体制となる。管理部門では、大橋宏範氏が管理本部・戦略統括部の戦略企画部長に就く。大橋氏は戦略企画部長代行と企画グループ長の兼務からの異動で、戦略企画の責任者を明確化する。
海外関連では、帝開思(上海)国際貿易有限公司の総経理に大西敏之氏が就く。
大西氏は京都中央研究所の価値創造研究部長からの異動で、研究部門から海外現地法人の経営責任者へ職掌が移る。組織図には海外拠点として晋一化工股份有限公司、蘇州開翼電子材料有限公司、帝開思(上海)国際貿易有限公司、PT DAI-ICHI KIMIA RAYA、SISTERNA B.V.、DDFR Corporation Limitedなども記載しており、今回の人事はその一部のマネジメント配置に関わる。
今後の注目点は、2026年4月1日付で新設する事業企画部と、統合する企画マーケティング部、京都中央研究所への編入を同時に動かす中で、部門横断の連携機能が「SMART 2030」の推進体制としてどのように運用されるかという点に移る。
