株式会社クロス・マーケティング(東京都新宿区)は、自治体が実施する各種施策に対し、市民が抱く「認知度」「ポジネガ感情(印象)」「効果期待度」を可視化する「自治体施策共感度把握調査」の提供を開始した。インターネット定量調査で共感の度合いを示すスコアも算出し、施策の受け止められ方をデータで把握して施策立案や情報発信の検討材料とする。
同調査は従来の住民意識調査の枠内にとどまらず、施策ごとの「浸透度」と「評価」を分けて捉える設計を採る。市民が施策を知っているかどうかの把握に加え、ポジネガ感情(印象)や効果期待度を併せて取得し、独自の「共感度スコア」を算出する。自治体施策の評価・見える化に用いる調査サービスとして、EBPMに資する枠組みを打ち出した。
認知・印象・期待を数値化
可視化の対象は、各種施策に対する市民の認知度、ポジネガ感情(印象)、効果期待度の3点とする。認知状況を「浸透度」とし、印象・評価と分けて測定する考え方を提示した。これにより、認知はされているのに評価が伸びていない施策や、高く評価されている一方で十分に伝わっていない施策を浮き彫りにする。
従来の「住民満足度調査」との違いについては、満足度が過去の施策への評価であり、「不満がない」という消極的肯定も含むのに対し、共感度は未来の施策への期待や信頼、「この街を応援したい」という能動的な関与を指すと整理する。既存調査のブラッシュアップにつなげる運用を想定し、施策の棚卸し、ターゲット分析、エリア比較といった活用例を挙げている。
分析面では、年代、性別、居住エリア、家族構成、就業状況などの属性別に、施策に対する認知・評価・ニーズの違いを抽出する。政策企画課・財政課、シティプロモーション課・観光課、広報課、子育て・福祉・多文化共生担当課などが活用の担い手と想定され、部局横断で施策の受け止めを点検する用途を織り込んだ。
運用面では、インターネット定量調査で認知度、ポジネガ感情(印象)、効果期待度を取得し、共感度スコアを算出する。施策の「浸透度」と「評価」のギャップを把握し、広報・情報発信の強化が必要なポイントや、内容改善が求められるポイントの特定につなげる。
自治体運営では、限られた予算と人員の下で、施策の優先順位付けや既存事業の棚卸しが継続的な論点となっている。クロス・マーケティングの枠組みは、施策を一括りにせず、個別施策ごとに認知・印象・効果期待度を切り分けて把握する点に特徴がある。住民満足度調査のような包括的な評価に加え、施策単位での見え方を補完する指標として組み込む運用を見込む。
背景には、自治体でEBPMの考え方が浸透し、施策の立案や見直しでデータ活用を志向する動きが広がっていることがある。「認知」「印象」「効果期待度」に調査項目を分解し、共感度スコアとして再構成する手法は、情報発信の検討材料に加え、属性別の反応差を把握する分析と組み合わせることで、施策改善の優先度付けを迫られる自治体側の判断を後押しする狙いがある。
自治体内の使い分け想定
自治体施策共感度把握調査は、既存の住民満足度調査に追加できる設計とした。施策内容の認知状況を浸透度として捉え、印象・評価と分けて測定することで、同じ施策でも「伝わり方」と「受け止められ方」を別々に扱う構成を採る。施策の棚卸し、ターゲット分析、エリア比較といった活用例は、施策群を横並びで扱い、優先度やテコ入れの方向性を検討する運用を想定している。
連携や役割分担の面では、クロス・マーケティングがインターネット定量調査によりデータを取得し、共感度スコアを算出する。自治体側では、政策企画・財政部門が全体の方針や資源配分を検討し、シティプロモーションや観光、広報、子育て・福祉・多文化共生などの担当部局が個別施策の改善や情報発信の見直しに指標を活用する構図を描く。
今後は、どの施策を対象に、認知度・印象・効果期待度や共感度スコアを用いて棚卸しや属性別分析を進めるかが焦点となる。自治体側の実務では、部局ごとに扱う施策が異なるため、同一の指標をどの単位で揃えるか、エリア比較の切り方をどこまで統一するかが運用上の論点となる公算が大きい。クロス・マーケティングは、自治体施策の評価・見える化に用いる調査サービスとして、EBPM活用を見据えた提供を始めた。
