CRAVIA株式会社(東京都港区)は、体験型カスタマイズグッズ事業「ワッペンファクトリー(Wappen Factory)」を開始し、同ブランドのフランチャイズ(FC)展開も進める。ワッペンを組み合わせてオリジナル商品を制作する体験を提供し、制作体験とSNS投稿の親和性を軸に、商業施設や観光地などへの導入を進める考えだ。体験消費の取り込みを巡る小売各社の動きに影響を与える可能性がある。
「ワッペンファクトリー」は、完成品を販売する物販型と異なり、「制作体験」そのものを価値として提供する点を特徴とする。工程は「選ぶ→配置する→プレスする」で構成し、短時間で完成する仕様とした。CRAVIAは、IPコンテンツ、キャラクター、アーティストなどのファンマーケティング領域と親和性の高い事業モデルと位置づけ、新規事業として立ち上げる。
物販と異なる体験提供
制作体験では、来店客がワッペンを自由に選び、ポーチ、トートバッグ、キーホルダーなどのベースアイテムに貼り付けて仕上げる。導入形態はポップアップ、イベント、常設店舗を想定し、直営に加えてFC方式も採用する。商業施設、観光地、雑貨店舗、イベント施設など多様なロケーションでの展開を視野に入れ、全国規模の店舗ネットワーク構築を目標とする。
CRAVIAはファンマーケティング事業を主力に、IPコンテンツ活用のファンクラブ支援やライブイベント企画などを手がけてきた。2023年3月期は売上高5億7,900万円、営業利益1億2,100万円を計上し、2024年3月期第3四半期は売上高5億2,400万円、純利益8,500万円となった。2023年10月に東証グロース市場へ上場し、調達資金を新規事業開発やM&Aに充てる方針を掲げており、今回の体験型カスタマイズグッズ事業も、多角化戦略の一環といえる。
制作体験とSNS投稿の相性の良さを生かし、SNSマーケティングと連動した拡散型の体験型リテールモデルとして展開する。体験要素を組み込んだ小売の拡大は外部環境面でも顕著で、内閣府の消費動向調査に関連する統計では、体験型小売の市場規模は2023年に約1兆2,000億円(前年比8.5%増)となった。総務省の統計によるとZ世代(1997〜2012年生)の人口は2023年に約1,500万人で、推し活関連の年間支出は平均3万円、うち雑貨カテゴリの比率は3割と整理されている。矢野経済研究所の推計では、国内のカスタマイズグッズ市場は2024年に4,500億円規模に達するとみられ、SNS投稿連動型のサービスが成長要因の一つとなっている。
韓国KJ Equityと連携
事業推進にあたっては、CRAVIAが業務委託契約を結ぶKJ Equity Partners Co.,Ltd.(大韓民国)と連携する。両社は2023年8月に業務委託契約を締結しており、CRAVIAは韓国雑貨市場の調達ネットワーク活用を目的に掲げてきた。ワッペンファクトリーでも海外サプライチェーンを組み込んだ運営体制をとる。
体験型のカスタマイズを軸にした取り組みは国内でも相次いでいる。韓国発のワッペン貼り付け体験店が2023年に渋谷へ出店したほか、サンリオは2024年に「ハローキティ」コラボのワッペン体験ポップアップを全国5都市で実施した。バンダイナムコエンターテインメントは2023年から「ガシャポン」体験型店舗のFC展開を進め、店舗数は全国で30超に達している。こうした先行事例が広がるなかで、CRAVIAはファンマーケティング領域での知見を生かし、IPコンテンツやアーティストのファン層を取り込めるモデルとしてワッペンファクトリーを育成する構えだ。
今後の焦点は、ポップアップ、イベント、常設店舗の3形態を同一ブランドで運用しながら、直営とFCの役割分担をどう設計するかに移る。商業施設や観光地など多様なロケーションへの出店を見据え、導入形態ごとの運営スキームやSNSマーケティングとの連動方法を個別案件ごとに詰めていくことが求められる。CRAVIAはKJ Equity Partnersとの連携をテコに、体験型カスタマイズグッズ市場での成長を図る。
