シチズン時計株式会社(東京都西東京市)は、2025年度通期の連結業績予想を上方修正した。売上高を従来の3,270億円から3,375億円に、営業利益を245億円から270億円に、経常利益を290億円から335億円に引き上げた。経常段階・最終段階ともに増益を見込む内容で、時計事業や工作機械事業が北米や欧州市場を中心に堅調に推移していることが寄与した。
会社は同時に、2025年度第3四半期(10〜12月)の連結業績を公表し、売上高978億円(前年同期比14.9%増)、営業利益108億円(同62.5%増)と、四半期単位でも増収増益を示した。北米で「シチズン」「ブローバ」両ブランドが大きく伸び、欧州でも新製品投入が奏功した。全3事業セグメントが増収増益となっており、本業を主体とした収益拡大が進んでいる。
全セグメントが堅調に推移
第3四半期(10〜12月)における時計事業の売上高は582億円で、前年同期比12.5%増となった。北米の主要流通で販売が増えたほか、自社ECの成長も寄与した。工作機械事業は237億円(同27.8%増)と伸び、特に欧州や中国の半導体関連需要が堅調だった。デバイス事業も159億円(同7.1%増)となり、自動車部品やセラミックスの販売が回復している。
ラ・ジュー・ペレ社への出資受け入れなど事業再編も進展
時計事業では、スイスの高級ムーブメントメーカー、ラ・ジュー・ペレ社が2025年11月にLVMHグループからの出資を受け入れるなど、国際的な供給連携を強化した。ラ・ジュー・ペレ社はシチズングループ傘下にあるが、これによりLVMH傘下ブランドとの関係強化が進められる見通しだ。また、北米ではブローバブランドがラテングラミーのスポンサー契約を2025年10月に10年目の更新を行い、音楽分野での訴求活動を継続している。
通期業績予想で示された為替前提は、1米ドル=149円、1ユーロ=173円。2025年度下期の営業利益率は7.9%とされ、時計事業1900億円、工作機械事業840億円、デバイス事業635億円の売上見通しを立てている。
限定モデルや地域の需要構成を踏まえた販売体制
2025年11〜12月には、ブランド誕生25周年を記念した『カンパノラ 星響(ほしのひびき)』を数量限定で発売した。世界で150~250本の限定モデルとされ、販売は限定的な形をとっている。腕時計販売では、日本国内がインバウンド需要の低下で減収となる一方、欧米市場の好調が補う構図となった。北米では量販店や時計専門店での販売拡大、自社ECの高価格帯モデルが伸びた。
工作機械事業は、中国の半導体関連需要の回復や、欧州における医療関連の旺盛な投資が支えとなっている。アジアでは米国関税影響の緩和に伴い、前期比で受注が増加した。
上方修正の背景に海外比率の高さ
シチズン時計の事業構成は時計、工作機械、デバイスの三本柱で、海外売上比率は全体の約75%を占める。今回の上方修正は、北米や欧州など海外市場における実需回復の反映とされる。為替変動も利益増に影響しており、円安基調が収益を押し上げた格好だ。
同社では、電子機器などをデバイス事業に集約する再編を進めており、2025年度より新たな区分に基づく管理体制を導入している。今回の通期上方修正により、営業利益率は8.0%とされ、全セグメントが堅実に収益を伸ばす見通しになった。精密機械メーカーとして時計と工作機械の二軸を維持しながら、為替や地域市場の動向を反映した業績構成をとっている。