建設業界向けにビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)ソリューションを提供する株式会社Changsoft I&I(韓国・ソウル)は12月22日、日本での事業拡大に向けて、東京工業大学発のエンジニアリングベンチャー、BSIとの合弁会社「BnB Solutions」を通じた現地展開を本格化すると発表した。同社は日本市場向けにソフトウェアのローカライズを完了しており、日本企業との協議を進めている。
Changsoft I&Iは、設計から施工、維持管理までの情報を統合管理できるBIM技術を強みとする。合弁事業を選択した背景には、日本固有の建築基準や施工慣行への適合を重視する戦略がある。BnB Solutionsが実務面を担い、現地設計ルールや業界標準を踏まえたソリューションの調整と普及活動を進める体制を整えた。
合弁会社が日本仕様BIM開発
Changsoft I&Iは2008年設立。2D建築図を3D構造モデルに自動変換し、鉄筋やコンクリートなどの数量を精密に算出する自社開発ソフトを持つ。2023年6月、同社はBSIと共同出資比率を50%ずつとするBnB Solutionsを設立し、日本市場向けの製品開発・販売を任せた。
BnB Solutionsは約1年の開発を経て、日本の構造設計基準・用語体系・文書形式などに適合させたBIMソフトを2024年7月に完成。
特に配筋干渉の自動検出機能を追加し、従来の現場修正作業を軽減する。この機能により、設計段階での干渉箇所を可視化でき、設計部門と施工部門の連携効率を高めるとされる。
日韓連携で都市再開発需要に対応
今回の動きは、都市再開発案件が継続する日本市場に対するChangsoft I&Iの長期的な成長戦略の一環だ。同社は海外展開の重点国として日本を位置づけており、国内のBIM需要拡大を背景に技術連携を強化した。
合弁会社の設立には、韓国科学技術情報通信部、情報通信産業振興院(NIPA)、グローバルデジタルイノベーションネットワーク(GDIN)が運営する海外進出支援プログラムの支援も得た。
これにより、法務・知的財産・市場参入に関する専門的な支援を受けている。
10社の顧客確保を目標に商談進展
BnB Solutionsは現在、日本の建設会社や設計事務所など複数企業と交渉中で、初期購入の要請も寄せられている。2026年3月までに10社程度の顧客を確保し、安定的な収益基盤を築くことを目標としている。
Changsoft I&IのCOOジョンウン・パク氏は、「現地パートナーとの協業で、日本の設計基準に即した運用支援を継続する」と述べ、合弁モデルを他地域にも展開していく意向を示した。現在はアジア圏を中心に、同様のローカライズ型ビジネスモデル拡大を検討している。
BIM市場の成長と課題
日本の建設業界では、設計データと施工情報を統合するBIMの導入が公共・民間を問わず広がりを見せる。
特に鉄筋やコンクリートなど構造部材の干渉検出や数量管理を自動化する技術は、労務不足対策や品質確保に直結する利点がある。
一方で、国内基準に合致する仕様や文書体系を備える外国製ソフトは限られており、ローカライズ精度が導入拡大の鍵を握っている。
今回のChangsoft I&Iの動きは、海外BIMベンダーが日本の設計慣行に特化した共同開発体制を取る事例として注目される。関係者の間では、設計・施工プロセスの一元化に向けたソフト統合の進展が、施工管理効率化の一手となるとの見方もある。
BnB Solutionsは、日本仕様のBIMソフトの販売体制を整備しながら、運用支援や技術研修も順次展開する計画だ。
Changsoft I&Iはこの成果を踏まえ、地域連携型の展開モデルをアジア各国へ応用する方針で、建設技術の標準化と効率化を進める動きが広がりを見せる見込みである。