セルシス(東京都)は2月13日、「2025年12月期決算短信」を発表した。2025年12月期の通期業績は、売上高・営業利益がともに過去最高を更新した。売上高は94.7億円、営業利益は29.6億円、サブスクリプション関連の指標であるARR(年間経常収益)は54.5億円だった。代表作「CLIP STUDIO PAINT」のグローバル展開が堅調に推移し、主要収益指標が計画を上回る着地となった。
決算は「中期経営計画 2025-2027」の初年度にあたり、想定を上回る成果を示した。主力の「CLIP STUDIO PAINT」を軸に製品アップデートや機能追加を継続し、ユーザーの契約継続率を高めている。中期計画で掲げたROE30%の目標を達成したほか、営業利益は当初の中期目標を1年前倒しで達成見込みとされる。クリエイター支援事業の基盤強化を進める狙いがある。
94.7億円売上、ARR54.5億円で過去最高
2025年12月期の売上高は前年比15.4%増の94.7億円、営業利益は同38.3%増の29.6億円だった。ARRは前年比25.4%増の54.5億円に拡大しており、継続課金モデルが成長軸となった。この結果、期初計画を上回る水準で着地している。
「CLIP STUDIO PAINT」は2025年3月にメジャーバージョンアップ(Ver.4.0)を実施し、世界的な反響を得た。これにより販売実績が当初計画を上回ったという。2026年3月には新バージョンVer.5.0の提供が予定されており、買い切り版製品について平均10%の値上げが予定されている。
このほか、株主還元の面では11期連続の増配を続けており、2025年12月期の年間配当は36円を予定。自己株式の取得も継続しており、累計取得額は65億円に達している。2026年12月期の配当は38円を見込んでいる。
2025年12月期の実績とともに2026年12月期の売上高は99億円を計画している。
グローバル展開と新収益基盤の構築
セルシスはこれまで、「CLIP STUDIO PAINT」のグローバル展開による利用者層拡大施策を進めてきた。海外市場での販売網整備と、定期的な機能拡充により、若年層やライトユーザーの取り込みを重ねている。
背景には、クリエイターエコノミー市場の拡大がある。同社は、作品制作を支援する「クリエイターサポート分野」と、新たな活動の場の構築を目指す「クリエイタープラットフォーム分野」を両軸とし、事業領域を段階的に拡大している。
2022年12月期から自己株式の取得を続け、財務基盤を強化してきた経緯がある。こうした継続投資が2025年期の高収益モデルの実現につながっている。
中期計画での体制と収益モデルの構築
今回の計画では、2025年を初年度とする「中期経営計画 2025-2027」を基盤に、収益モデルの多層化を進めている。主力製品の成長を前提としつつ、「クリエイタープラットフォーム分野」での新サービス提供を段階的に進める方針だ。
提供形態はサブスクリプションを主体とし、継続課金による安定収益モデルを中心に据える形をとっている。年間を通じた機能追加アップデートを行う前提で、バージョンアップを定常化した運営を維持しているのが特徴だ。
販売構造としては、グローバル規模でのオンライン提供を中心とし、地域別に展開条件を調整している。数量や販売期間については特定の限定条件は明示されていない。買い切り版製品は単体販売を維持した上で、それとは別にサブスクリプションラインを継続して運用する形とされている。
中期経営計画の文脈では、営業利益の数値目標を一年前倒しで達成見込みとし、経営計画上の進捗を示しているが、次期計画や未発表の条件については記載されていない。再販や供給条件に関して、数量限定や再販売の明示はなく、通年提供を前提とした安定運用の形を取っているとみられる。
2026年以降の重点施策と運用面での注目点
2026年12月期以降は、主力製品の収益力をさらに高めつつ、クリエイターの収益化を支援する新プラットフォームの開発を進める方針を示している。ユーザーコミュニティを強化する新サービスの展開も予定に含まれる。
一連の施策は、クリエイター支援事業を継続拡張する流れに位置付けられる。法人営業や取引管理の観点では、同社の収益構造がARR主導で安定化していることが注目点となる。今後も中期経営計画に基づく収益基盤の強化が進む構図だ。