アウトドアコンサルタントとしてキャンプ場づくりを手がけるキャンプ女子株式会社(福岡県福岡市博多区)は、フリーランスや個人事業主、ノマドワーカー向けのiOS請求書・見積書作成アプリ「SEIKYU(セイキュウ)」の先行ベータ版の事前登録受付を開始した。買い切り型で、データは端末内保存とし、スマートフォンだけで請求書関連の作業を完結させる利用シーンを想定する。
同社は、PC不要でiPhoneのみを使い請求書と見積書を作成し、PDF出力や共有まで行える点を主な特徴に挙げる。インボイス制度への対応では、適格請求書発行事業者の登録番号を一度設定すると請求書に自動挿入する仕様とし、10%と8%の軽減税率が混在する場合の税率ごとの消費税額を自動計算する。フリーランスの業務で発生する請求関連の作業を、スマートフォン中心に移行させる狙いがある。
フリーランス462万人
内閣官房の調査によると、日本のフリーランス人口は約462万人(2024年時点)とされる。キャンプ女子株式会社は、月末の請求書作成でExcelやテンプレートを用いた手作業が発生し、カフェや移動中の隙間時間では対応しにくい実態を課題として示す。インボイス制度が2023年10月に開始され、税率ごとの消費税額の記載や登録番号の挿入など、適格請求書の要件が厳格化したことで、事務負担が増している面もある。
ランサーズ株式会社の「フリーランス実態調査2024」では、広義のフリーランス人口は1,303万人(2024年)とされ、労働人口の18.8%に相当する。年収99万円以下が約7割という分布も示され、収入規模が幅広いなかで、請求書作成や税率区分の処理といったバックオフィス業務が発生している。フリーランス人口の推移では、2019〜2020年に56万人減少した後、2020〜2021年に1.5倍増となるなど変動が大きく、副業や独立の広がりとともに働き方が多様化している。
キャンプ女子株式会社は、キャンプ場づくりのコンサルティングで各地を移動するなか、月末にPCを開いて請求書を作成する負担が大きかったとする。少人数の体制で経理作業を短時間で終え、本業に集中したいという意向から、移動中でもスマートフォンだけで完結する請求書ツールの開発に踏み切った。同社はアウトドア観光施設コンサルタントのほか、お香ブランド「CRYSTAL INSENCE」の企画・製造・販売、キャンピングカー事業、広報・PRなども手がけている。
請求書関連の作業は、制度変更のたびに記載内容の見直しが求められる。インボイス制度の開始により、適格請求書では登録番号の記載や、税率ごとの消費税額の記載が要件として整理され、従来のテンプレート運用からの見直しを迫られた事業者も少なくない。制度対応と同時に、移動や副業を前提とした働き方に合わせた事務ツールの需要が高まっている。
端末内保存の設計
キャンプ女子株式会社は、買い切り型で月額課金なしとし、データは端末内にのみ保存する設計とした。外部サーバーへの送信を行わず、オフラインでの利用を前提とする。PDFテンプレートは3種類を用意し、見積書から請求書への変換機能や、月間売上・未入金額などを表示するダッシュボード機能も備える。
フリーランス向けの請求書関連ツールはクラウド型の月額制サービスが主流で、年間を通じて一定の利用料が発生するケースが多いとされる。こうした中でキャンプ女子株式会社は、買い切り型と端末内保存を組み合わせることで、ランニングコストを抑えつつ、スマートフォン単体で作業を完結させる形態を打ち出す。移動を伴う働き方の広がりを背景に、PC中心だった事務作業の環境を切り替えたい層の取り込みを狙う。
正式版リリース後に追加を予定する機能として、定期請求の自動生成、iCloud同期による複数デバイス対応、メール送付の自動化、年間収支レポート、確定申告用資料出力、Apple Watch対応(入金通知)などを挙げる。端末内保存とオフライン利用を軸に据えながら、将来的にはクラウド連携やウェアラブル端末との連動も視野に入れ、利用シーンの拡張を図る構えだ。
