ブリヂストンは「なでしこ銘柄」に選定され、「健康経営優良法人」(ホワイト500)の認定も受けた。性別を問わず育児休業を取得できる環境整備や仕事と育児の両立支援、フェムテック・プログラムの導入などを進めてきた。女性リーダー育成と健康経営の全社標準化を軸に、人財投資施策としての枠組み整備を進める。
女性活躍では、意思決定の多様化に向けた女性リーダーの育成・登用に注力している。2021年から役員がメンターとなり、女性基幹職登用候補者のキャリア形成をサポートする「役員メンター制度」を導入している点が特徴だ。育児と仕事の両立支援を含め、ライフステージに応じて働き続けるための支援を強化する狙いがある。
なでしこ26社に選定
令和7年度の「なでしこ銘柄」は、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する制度で、女性活躍推進に取り組む上場企業を対象に選定する。今回の選定では18業種から26社が選ばれ、自動車・輸送機の業種ではブリヂストンが選定された。ブリヂストンは2年連続9度目の選定となり、女性活躍推進と両立支援の取り組みが経済産業省の選定企業事例として紹介された。
健康経営では「健康経営優良法人2026」(ホワイト500)に4度目の認定を受けた。女性活躍と健康経営の両面で外部認定の更新が重なり、社内制度の運用と整備を同時に進める局面にある。今回の認定・選定に関連し、女性リーダー育成では役員メンター制度を、健康経営では「ハイリスク値」などの基準設定と対応の全社標準化を進める方針を示した。
社内の取り組みとしては、生産現場で女性技能員の視点を生かした作業標準の改善を取り入れている。労働負荷を低減し生産性を高める改善により、作業の安全性向上や生産コストの最適化にもつなげている。育成・登用の仕組みと登用実績を組み合わせ、女性リーダー層の形成を進めている。
なでしこ銘柄とあわせて、共働き・共育て支援に焦点を当てた「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」も23社が選定されるなど、性別を問わない両立支援を評価する枠組みも並行して運用されている。ブリヂストンが進めてきた性別を問わない育児休業の取得環境整備や両立支援は、制度設計面での評価軸と重なる領域だ。
なでしこ銘柄の選定企業については、選定企業の株価指数を用いた試算でTOPIX比のパフォーマンスが優位となる傾向も示されている。女性活躍推進を「中長期企業価値向上」を重視した顕彰制度として位置付けることで、上場企業における人的資本の開示や施策設計との接続が進んでいる。ブリヂストンは2024年度に「プラチナえるぼし」認定も取得しており、複数の外部認定を組み合わせる形で女性活躍施策の体系化を進めてきた。
背景には、少子高齢化と労働人口減少という社会課題の下で、人的資本を成長の源泉とし、事業戦略と連動した人財戦略を推進する企業が増えている状況がある。経済産業省と東京証券取引所が共同で進めるなでしこ銘柄は、女性活躍推進を軸にしつつ、中長期での企業価値向上を重視する制度として設計されている。令和7年度は「準なでしこ」の設定をなくし、なでしこ銘柄26社とNextなでしこ23社の構成とした。
役員メンターと基準化
女性活躍の運用面では、役員メンター制度が柱となる。役員がメンターとなり、女性基幹職登用候補者のキャリア形成を継続的に支援する仕組みで、育成・登用の枠組みと実績を結びつけて女性リーダー層の形成を図る。両立支援では、性別を問わず育児休業を取得できる環境整備を進め、ライフステージに応じて働き続けられるよう支援を強める。
健康経営では、Global CEOの森田泰博氏を健康経営責任者とする体制を敷いた。2026年3月に「ブリヂストン健康経営方針」を改定し、「健康経営戦略マップ」を策定して、人財投資施策としての健康経営の考え方を明確化した。取り組みの強化として、定期健康診断結果などに対し、独自の基準となる「ハイリスク値」「準ハイリスク値」を定めた。数値基準と対象者への対応を全社で統一し、医療機関への確実な受診を支援する仕組みとした。
生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症など)の予防に向けては、各事業所と一体となって特定保健指導を強化している。生産現場での作業標準の改善を含め、事業所単位の取り組みと全社標準の運用を組み合わせる設計とし、現場の健康リスク低減と生産性向上を同時に追求している。
今回の認定・選定を受け、今後は女性リーダー育成の仕組みと健康経営の基準運用を、各事業所での実装とどのように連動させるかが焦点となる。取引管理や法人営業の場面では、両立支援や健康経営の全社標準化が拠点横断の運用ルールとして扱われるため、社内外の窓口や対象範囲の整理が課題となる可能性がある。ブリヂストンは役員メンター制度と「ハイリスク値」などの基準設定を軸に、女性活躍と健康経営の取り組みを一体で進めていく考えだ。
