BRANU株式会社が1日、東証グロース市場へ新規上場した。建設業向けDX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォームを展開し、中小企業の経営改善や業務の効率化を支援してきた。
同社は建設DXプラットフォーム「CAREECON Platform(キャリコン)」を提供し、集客・採用・現場・経営を一体で支える形へ機能を拡充してきた。コンテンツや報告書の自動作成など、LLMを含むAI活用をプロダクトに実装している。社内では「BRANU BRAIN」プロジェクトとして、中小建設企業のデータを活用したAI基盤の構築を進め、AIエージェント化を図っている。
累計5,500社が利用
「CAREECON Platform」の累計利用社数は約5,500社。契約社数は2026年1月末時点で6,200社に達し、利用の裾野が広がっている。2026年10月期第1四半期(2025年11月〜2026年1月)の売上高は5.45億円、営業利益は0.22億円、経常利益は0.04億円だった。
BRANUは中小建設業のDX支援を2009年の創業以来の軸に据え、当初は集客や採用支援から開始し、施工管理、採用管理、経営管理へと機能を広げてきた。上場準備では内部統制や開示体制を含むコーポレートガバナンス整備などに取り組んだ。
同社は全国を回り対面で顧客との信頼関係を築き、関係構築後はオンラインで支援するなど、アナログとデジタルの融合を重視してきたとしている。競争優位の源泉として、長年にわたり蓄積したデータと、現場に足を運んで築いてきた信頼関係を挙げる。
「CAREECON Platform」は建設事業者向けマッチングサイト「CAREECON」と統合型ビジネスツール「CAREECON Plus」から構成され、マーケティング・採用管理・施工管理・経営管理をカバーする。直近では「CAREECON Plus」の経営管理機能に「CRM(顧客管理)」を追加し、顧客ごとの収益性を可視化する取り組みを8日に開始した。労務問題の改善に向け社労士業界と連携し、事業者側の業務運用に寄り添う形で導入接点を広げる方針も打ち出している。
外部環境では、建築分野の建設DX市場が2023年に約1,845億円規模とされ、2030年に3,000億円超へ拡大する見込みがある。建設投資額は2025年に約75兆円の見通しで、中小建設事業者の市場規模は年間43兆円規模とされる。中小だけで約50万社が存在し、業務が日々逼迫しやすい事業構造が現場起点のデジタル化を遅らせる要因となってきた。人口減少下でも老朽化インフラ更新や防災需要が投資を下支えする一方、導入側には負荷の低い設計が求められ、BRANUが進める自動化やAI活用の方向性と重なる。
協業網を約690拠点へ
BRANUは今後の成長戦略として、既存基盤の拡充、プロダクトの強化、新領域への参入の3点を掲げる。国内では支店網の拡大に加え、建設資材・住宅設備の流通で全国規模のネットワークを持ち約13万社の顧客基盤を有する渡辺パイプとの業務提携を深める方針で、現在およそ200拠点をカバーしている連携を全国約690拠点まで広げていく計画だ。これにより、これまでリーチできていなかった地域の中小建設事業者にもサービスを届ける体制を構築する考えだ。
プロダクト面では経営管理機能の強化を中核に据え、AIを活用したSaaSからAIエージェントへ進化させる方向性を示す。現場で発生するデータが経営管理データへ連携され、入力や集計を意識せずとも経営状況が把握できる仕組みを、自動化によって実現していく構想だ。新領域では成果報酬型採用支援プラットフォーム「キャリコンジョブ」を立ち上げ、将来的に評価・育成・労務までを一体で支えるHRプラットフォームへ発展させる方針も掲げる。
連携と自動化が軸
顧客支援はコンサルタントが伴走している現状があり、将来的にはこの役割の多くをAIに置き換えていく構想を描く。CVCを通じて事業シナジーの見込める企業と対話を進め、プロダクトと顧客基盤の強化につながる企業との連携も視野に入れる。
今後の焦点は、協業による提供体制の広がりと、プロダクトの自動化が同時に進む局面で、現場データから経営管理へ連携する設計がどの業務領域まで実装されるかに移る。渡辺パイプとの連携範囲の拡大に伴う導入接点の変化と、伴走支援からAIへの置き換えが進む過程での支援範囲の線引きが、取引や運用設計の論点となる。
