ベリーベスト法律事務所(東京都港区)は、外部へのデータ送信を行わない自社完結型のAIシステム「ベリーベストAI」を正式に導入した。開発開始から約3年を経て実務活用を終え、本格運用を始めた。クラウド型AIによる情報漏えいの懸念を踏まえ、オンプレミス環境を採用することで、弁護士の守秘義務と業務効率化の両立を図る。
同事務所では、これまでクラウド型AIを活用した判例検索などを展開してきたが、依頼者や被害者の情報を扱う法務業務では高度な機密保護対策が求められてきた。特に顧客情報や要配慮個人情報を外部サーバーへ送信するリスクが課題となっていた。このため、自社サーバー内で処理を完結させるオンプレミス法務DXを進め、セキュリティ維持を重視したシステム開発を進めてきた。
全国75拠点体制でAI導入を進行
ベリーベスト法律事務所は全国75拠点(2026年2月時点)を展開し、個人・法人双方の法的支援に取り組んでいる。「ベリーベストAI」は、弁護士とパラリーガルの業務を対象に、書類や録音データのAI解析、戦略立案支援、書面作成の効率化などを担う。クラウドではなく自社サーバーを活用する方針であり、システム全体を所内で運用する体制を取っている。
同AIでは、書面テンプレートと案件管理システムを連動させ、書面作成時間の短縮につなげた。
背景には、生成AIの普及により法律実務でもDXが進展する一方で、クラウド型AIに依存する利用形態では外部データ送信が避けられないという構造的な課題がある。同事務所は、刑事事件や医療案件などで扱う機微情報の管理強化を目的に、自社環境でのAI実装を第一に進めてきた。
また、AIのプロファイリング機能により個人特定のリスクが高まる状況下で、匿名化だけでは十分な保護が得られない問題意識もあった。このため、機密情報が外部に出ない仕組みを優先し、生成処理の全工程を閉じたネットワーク内で行う構成を採るに至った。
自社完結型AIの運用体制を構築
「ベリーベストAI」はオンプレミス環境での導入を前提としており、外部サーバーへの送信を伴わない設計としている。書面解析や戦略立案の各工程は全て所内で完結させる仕組みだ。開発・運用はベリーベスト法律事務所が担い、外部事業者へのデータ委託は想定していない構成を取っている。
主な対象は弁護士およびパラリーガルで、証拠解析から文書作成まで一貫した支援を行う体制だ。数量や期間の制約は設けておらず、各支店が同じ手順でAI機能を利用できる形をとっている。再販や外部提供についての明示はなく、自社運用に特化した仕組みを採用している。同事務所では、AIエージェント機能やノウハウのデータベース化を進める方針を示しており、これにより内部活用の幅を広げる構えだ。
