日本M&Aセンターホールディングス(東京都千代田区)は21日、持分法適用会社のバトンズが東京証券取引所グロース市場へ新規上場したと明らかにした。バトンズはM&A・事業承継支援プラットフォーム「BATONZ(バトンズ)」を運営する。上場後も日本M&Aセンターホールディングスの持分法適用会社として位置づけられる。
日本M&Aセンターホールディングスは、資本市場に参入した後もバトンズとの資本関係を維持する方針を示した。バトンズは「誰でも、何処でも、簡単に、自由に、M&Aが出来る社会を実現する」というビジョンを掲げ、M&Aプロセスのデジタルトランスフォーメーション(DX)とマッチング機能の高度化を推進してきた。小規模な事業承継から上場企業の成長戦略までを視野に入れた、汎用性の高いM&Aインフラへの発展を目指す。
利用者35万と成約3,000
バトンズが運営するM&A・事業承継支援プラットフォーム「BATONZ」は、利用者数35万超、累計成約組数3,000組超を抱える。事業内容は、M&A総合プラットフォーム「BATONZ」の企画・開発・運用に加え、人材紹介サービス「LANNERZ(ランナーズ)」の企画・開発・運営などだ。上場市場は東証グロースで、証券コードは554Aとなる。
日本M&Aセンターホールディングス側では、連結子会社の日本M&Aセンターが中堅・中小企業の友好的M&A支援を担い、累計成約件数10,000件超、年間成約件数1,000件超という実績を持つ。グループはM&A仲介・助言ビジネスの蓄積を前面に出しつつ、プラットフォーム運営企業が上場を果たしたことで、「仲介・助言」と「オンライン基盤」という異なる提供形態が並走する構図が一段と鮮明になった。
バトンズの事業拡大が日本M&Aセンターホールディングスの業績に与える影響は、連結子会社とは異なり、持ち分に応じた損益の取り込みという会計処理を通じて反映される。資本参加を維持しながらも、支配権を伴わない関与を選択したことで、成長果実の取り込みと資本効率の両立を図る構えだ。
バトンズは、成長の一段の加速と、日本全国の経営者が安心して事業を託し新たな挑戦を始められるインフラの構築を目的にグロース市場への上場に踏み切った。日本M&Aセンターホールディングスは、上場を機にバトンズが資本市場との接点を増やし、知名度や信用力の向上を通じて案件獲得力や人材吸引力を高める効果を見込む。
バトンズは2018年4月に設立され、M&A・事業承継支援プラットフォームを事業の軸としてきた。創業以来のビジョンの下、国内の中小企業の事業承継やスタートアップの成長戦略への活用を念頭に、マッチング機能の高度化と手続きのオンライン化を進めている。
テクノロジーによる効率化と安心・安全な取引環境の整備を両立させることを戦略に掲げ、日本M&Aセンターホールディングスの中核子会社である日本M&Aセンターが全国の会計事務所や金融機関などと連携して対面型の案件を手掛けてきたのに対し、オンラインの場で当事者同士の接点を広げる運営モデルを構築してきた。対面重視の仲介ネットワークと、デジタルを活用した自律的なマッチング基盤という異なるアプローチが、同一グループ内で共存する形だ。
背景には、中堅・中小企業の事業承継ニーズの顕在化や、成長戦略としてのM&A活用の広がりに伴い、M&A支援の手段が多層化している状況がある。日本M&Aセンターホールディングスは累計成約件数10,000件超、年間成約件数1,000件超という規模を掲げ、友好的M&Aの支援を中核事業としてきた。一方で、プラットフォーム型の支援が利用者35万超、累計成約3,000組超に達していることは、売り手・買い手双方の探索行動がオンラインに移行しやすい領域が拡大していることを示す。
持分法適用の枠組み
日本M&Aセンターホールディングスは、バトンズが上場した後も持分法適用会社としての位置づけを維持する。上場により資本市場との接点が増えることで、バトンズは市場評価を背景にした成長資金の調達や人的資本の獲得が容易になる一方、日本M&Aセンターホールディングスは支配権を伴わない形での関与を続けることになる。
今回のスキームは、バトンズとの資本関係を維持したまま、上場という成長資金調達の手段を取り込む構造を採ったものだ。グループ内に連結子会社と持分法適用会社の双方を抱え、機能や役割を分担させることで、資本効率やリスク管理と成長投資のバランスを意識したポートフォリオ運営を志向しているといえる。
仲介とPFの競争軸
国内のM&A支援は、仲介・助言を担う事業者と、オンライン上で相手探索を支えるプラットフォーム運営が並存し、案件の規模や業種、オーナーのニーズに応じて使い分けられる場面が増えている。日本M&Aセンターホールディングスは、連結子会社の日本M&Aセンターで累計成約10,000件超、年間成約1,000件超という実績を持つ一方、持分法適用会社であるバトンズが利用者35万超、累計成約3,000組超というオンライン指標を積み上げてきた。両者が同じグループの資本関係にありながら提供形態が異なる点は、M&A支援の競争軸が「人的支援の厚み」と「探索・手続きのデジタル化」に分岐している現状を映す。
類似領域では、仲介企業が全国の会計事務所や金融機関、証券会社などと連携し、案件の発掘から条件交渉、クロージングまでを一気通貫で支援するモデルが一般的だ。日本M&Aセンターもこうした地域金融機関や専門家ネットワークを軸に活動領域を広げてきた。これに対し、バトンズは創業時から掲げるビジョンの下、M&AプロセスのDX化とマッチング機能の強化を通じて、小規模な事業承継から上場企業の成長戦略までを取り込むプラットフォームへの拡張を図る。
資本市場との接点が増えることで、バトンズは上場企業としての情報開示やコーポレートガバナンスの枠組みの中で事業を進めることになる。日本M&Aセンターホールディングスにとっては、持分法適用のまま上場企業を傘下に置く形となり、連結子会社による仲介・助言と、持分法適用会社によるプラットフォーム運営を併走させる構成が続く。グループ内での役割分担の明確化は、案件の入口をどこに置き、どの機能をどの主体が担うかといったオリジネーションやエグゼキューションの設計にも影響を与える。
今回の事例は、M&A支援領域で、既存の仲介・助言ビジネスが築いてきたトラックレコードと、プラットフォーム型の利用者基盤・成約実績が同時に積み上がる局面を象徴する。日本M&Aセンターホールディングスが持分法適用の関係継続を打ち出したことは、資本市場との接点を拡大するバトンズの動きと、グループとしての資本関係の持続を両立させる枠組みを選択したことを意味し、M&Aビジネスのデジタル化と専門家ネットワークの双方を取り込む戦略の一端といえる。
