バンセイ株式会社(東京都豊島区)は、8日の国際女性デーから新制度を始める。生理休暇の有給化やHPVワクチン接種費用の一部助成を盛り込み、育児・介護など既存制度も一体で再整理する。従業員の健康とキャリア継続を「予防」の視点で支える枠組みとする。
バンセイ株式会社は、不調が起きてから対処するのではなく、事前の支援を制度として整える狙いを示している。生理やPMSなど外から見えにくい不調に関する理解を社内で広げ、制度を探さずに使える形にまとめることで、全従業員が利用できる支援策として運用する考えだ。イベントの企画・運営・制作で現場業務を担う従業員の健康管理を、業務継続の論点として扱う取り組みとなる。
生理休暇を有給化
新制度では、生理休暇を無給から有給へ改定する。HPVワクチン接種費用は一部助成とし、発症後対応にとどまらない予防医療の観点から会社として支援する必要があるとの判断を示した。既存の両立支援制度は育児・介護を含めて一体的に整理し、内容を分かりやすく可視化する。
育児支援では、産前産後休暇、育児休業、配偶者出産時の特別休暇(有給2日)に加え、所定外労働・時間外労働・深夜業の制限や免除を用意する。介護支援では、介護休業(対象家族1人につき通算93日まで)や、同様の労働時間制限・免除に加え、介護短時間勤務制度(利用開始から3年以内に2回まで)を設ける。産前産後休暇を除き、男性社員も取得・利用できるとしている。
制度は新制度と既存制度をまとめて提示する形をとり、制度を探さず利用できる環境の整備を目的に据える。広報部所属の公式キャラクター「バンBくん」を象徴としたネーミングを採用し、生理や体調などデリケートな話題を従業員が言い出しやすくする設計とする。
制度は全従業員が対象
制度の適用対象は全従業員とし、育児・介護の各制度も含めて利用できる形に再設計した。制度の周知では、キャラクターを介して制度利用を呼び掛ける形を採り、制度の心理的距離を縮める仕組みとする。制度認知率は年2回調査し、2026年度中に認知率100%を目指すとした。
制度の活用状況も重視し、2027年度以降は制度利用率80%以上の維持を目標に掲げた。あわせて社内説明会や管理職向け研修、相談窓口の明確化などを挙げ、制度の運用を通じた定着を図る考えを示している。
バンセイ株式会社では、イベント制作・設営・運営の現場で限られた時間の中で即時判断や高い安全性が求められ、体調不良でも業務を優先せざるを得ない状況が常態化していたという。男性比率が高い職場特性もあり、生理やPMSなど女性特有の不調への理解が十分に浸透しにくく、健康管理が個人任せになりやすい課題があったとする。
社内では「生理について職場で言い出しにくい」「体調が優れない日でも休みにくい」といった女性社員の声が上がり、既存の生理休暇は無給で申請しづらく、十分に活用されていない実態があった。こうした状況を受け、1月に男性管理職・中堅社員を対象とした生理痛疑似体験ワークショップを実施し、体調不良が判断力や集中力、安全確認に影響することを参加者が実感したという。
制度決定までの過程では、女性活躍推進会議で女性社員の声を共有し、女性社員へのヒアリングと従来制度の利用実態調査を行った。その後、男性管理職・中堅社員向けのワークショップを実施し、結果を組織課題として整理した上で社内意見を踏まえ制度内容を修正し、経営会議の承認を経て新制度創設と既存制度の再設計を決めた。
今後の焦点は、社内説明会や管理職向け研修、相談窓口の明確化を含む運用設計が、制度の可視化と利用のしやすさにどこまで接続するかにある。取引管理・法人営業の観点では、制度の対象が全従業員とされ、育児・介護制度は産前産後休暇を除き男性社員も取得・利用可能とされる。
