アルコニックス株式会社(東京都千代田区)は、グループ会社によるリサイクル施設建設を目的に、埼玉県羽生市で17,700平方メートルの土地取得と都市計画法に基づく開発許可の取得を完了した。2026年4~5月の着工を予定し、2026年度内の完成を見込む。
アルコニックスグループは、資源循環・リサイクル分野を、自社の機能・技術の強みを活かせる重要な成長領域と位置づける。今回の拠点整備は、アルミ銅センターと一体となって推進する非鉄金属リサイクル事業の拡大施策の一つで、長期経営計画2030のグループアクションプラン「リサイクルセンターの拡張・全国展開による循環型社会の実現」を具体化する動きとなる。
羽生市で17,700㎡取得
アルコニックスは2026年3月11日、埼玉県羽生市における当該土地の取得契約を締結し、都市計画法に基づく開発許可を取得した。所有権移転登記は2026年4月上旬の完了を予定する。
現場運営を担うのはグループ会社のアルミ銅センター株式会社(大阪府枚方市)で、大阪本社・大阪アルミセンター、北九州支店・稲田銅センターに続く第3の拠点となる。非鉄金属の回収から加工・販売までをグループ内で一貫して手がける体制の下で、アルミ銅センターが東西3拠点体制を構築し、スクラップ処理能力を高める。
羽生市周辺には潜在的な需要家であるアルミ関連メーカーが拠点を構える。アルコニックスグループは、関東圏を非鉄金属スクラップの一大発生地と位置づけ、東日本エリアでのリサイクル事業を戦略的に強化する方針を掲げており、需要地に近い地点でのインフラ整備に踏み切った。
背景には、地政学リスクの高まりや脱炭素化の要請を受け、資源を国内で循環させる仕組みづくりの重要性が増している状況がある。2026年4月1日に施行された改正資源有効利用促進法など、再生資源の利用促進や原材料等の再資源化を後押しする制度整備が進み、サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けた社会的要請が強まっている。
アルコニックスは、日商岩井(現双日)の非鉄金属部門が独立した流れを起点に、M&Aを通じて事業領域を広げ、東証プライム上場企業へと成長してきた。非鉄金属の商流に加え、加工・製造や周辺サービスを抱えやすい事業構造を活かし、スクラップの回収・選別・保管といったインフラ機能への投資を長期経営計画2030の行動計画と結びつけた形だ。
埼玉県ヤード条例順守
造成・運営にあたっては、埼玉県の「埼玉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例」(埼玉県ヤード条例)に則り、県が定めるヤードの建設・運営ルールを順守できるよう、行政との連携を進める。あわせて、アルコニックスグループの情報インフラを活用し、責任ある調達を行うための仕組みづくりにも取り組む方針だ。
制度面では、改正資源有効利用促進法の施行により、再生資源の利用促進や原材料等の再資源化を支える枠組みが整いつつある。これを受け、回収・選別・保管の各機能をどの地点に配し、メーカー側の需要地にどう結びつけるかが、設備投資の焦点となる。羽生市周辺にアルミ関連メーカーの拠点があるとの整理は、需要家への距離とスクラップ発生地としての関東圏の性格を重ね、東日本での処理・集荷能力を補う構想につながる。
アルコニックスのグループ内では、ものづくり領域の周辺にITやDXを含む機能も抱える。マークテック完全子会社のニコスは産業用IT(FA、WEB監視、組み込みソフト)を手掛け、第25期決算(2025年12月31日現在)で当期純利益50百万円を計上した。羽生市の新拠点は非鉄金属スクラップのインフラ投資と位置づけられる一方、グループの情報インフラを用いた責任ある調達の仕組みづくりを掲げており、運営面ではトレーサビリティ確保や取引データ管理が重要な要素となる。
財務面では、アルコニックスが2026年3月期の連結業績予想を上方修正し、営業利益111億円(前期比5.8%増)で過去最高益の更新見通しを示している。資源循環・リサイクルを含む成長領域への設備投資と、内部留保確保や安定配当継続といった株主還元方針の両立が、長期計画の実行過程で問われる局面に入っている。
非鉄リサイクル投資
非鉄金属リサイクルを巡っては、地政学リスクの高まりと脱炭素化の要請が同時進行し、資源を国内で循環させる仕組みの整備が企業行動に織り込まれつつある。アルミは新地金の製錬段階で電力負荷が大きいとされ、再生材の活用が調達・生産の有力な選択肢として浮上している。制度面の後押しもあり、事業者側の回収・選別・保管能力の確保は、サプライチェーンの安定性と直結しやすい。
こうした中で羽生市での新設計画は、スクラップの発生地と需要地の双方を意識した拠点配置の一例といえる。アルコニックスグループは、関西・九州に続く第3の拠点を東日本に置くことで、回収・選別・保管を担う物理拠点の地域偏在をならし、メーカー側に調達距離や輸送経路の選択肢を与える考えだ。一方で、ヤード機能の整備は自治体・住民との調整や条例順守と不可分であり、埼玉県ヤード条例に沿った行政連携の進め方が、拠点展開の速度や適用範囲を左右する。
業界内では、非鉄金属リサイクル企業がレアアースや戦略物資の安定供給と結びつけて語られる場面もあり、アルコニックスもレアアース関連株として取り上げられることがある。非鉄スクラップの取り扱いは相場変動と需給の揺れを受けやすい一方、制度整備や国内循環の要請が強まるほど、集荷・選別の処理能力や取引の透明性が競争要素となる。アルコニックスが掲げる「リサイクルセンターの拡張・全国展開」は、単発の設備投資にとどめず拠点網として積み上げる構想であり、同業他社にとっても拠点立地と行政対応の設計が比較軸となり得る。
また、非鉄金属スクラップは、製造工程内の端材から解体・更新に伴う回収物まで発生源が幅広い。拠点整備は回収・選別・保管の現場能力を補完するだけでなく、取引実務では荷姿や等級、由来情報の扱いが業務設計に影響する。アルコニックスグループが情報インフラを活用した責任ある調達の仕組みづくりに取り組む方針を掲げたことは、現場オペレーションとデータ整備を結びつける方向性を示しており、拠点新設が設備増設にとどまらず、調達・流通プロセス全体の管理強化につながる可能性がある。
さらに、2026年3月期連結業績予想で営業利益111億円を見込む上方修正は、資源循環・リサイクル領域への追加投資余力を示す材料となる。中長期計画の遂行にあたっては、羽生市を含む拠点投資の工程管理と、既存拠点も含めた運営体制の統一が並行課題となる。アルミ銅センターが複数拠点を横断して受け入れ・選別・保管の手順や取引データの扱いを標準化できるかが、全国展開を進めるうえでの実務上の焦点となりそうだ。
