安藤ハザマ(東京都港区)は、株式会社リバネス、株式会社ヒューマノーム研究所、ソーラーテック株式会社と共同開発したAIとRPAを活用する構造設計支援システム「BROWNIE(ブラウニー)」を、構造設計部門の標準システムとした。構造設計の初期検討段階から利用できる点を特徴とし、基本設計の作業時間を削減する。
「BROWNIE」は、AI「AIグルーピングシステム」とRPAシステムを併用し、構造設計の基本設計業務を自動化する。柱・梁の仮定断面を自動算出するほか、初期設計段階での構造躯体の概算見積資料の作成や、複数ケースの比較検討による構造計画の選定を支援する。経験に依存せず、熟練の構造設計者と同等の成果を安定的に引き出せる設計環境を目指し、設計者ごとの作業のばらつきを抑える狙いだ。
社内利用者率80%達成
安藤ハザマは、構造設計部門内での利用者率80%以上を標準システムとする判断基準とし、2026年2月時点でこの水準に到達した。システムは構造設計の初期検討段階から利用できる設計支援として、部門の業務プロセスに組み込まれている。
適用対象は高さ60m以下の建築物で、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、ハイブリッド造(RC柱+S梁)に対応する。架構形式はラーメン架構に加え、ブレース付きラーメン架構(S造)や耐震壁付きラーメン架構(RC造)も含めた。AIグルーピングシステムとRPAシステムを組み合わせて活用することを前提とする。
社内での効果として、作業時間が平均50%削減されたとのアンケート結果が出ている。初期検討での仮定断面の自動算出や概算見積資料の自動作成支援を通じ、短期間で精度の高い構造計算結果を得られる自動計算システムとして、日常業務に浸透しつつある。
従来、建築の構造設計では一貫構造計算プログラムを用いて柱や梁の部材寸法を決定してきた。条件を満たすまで、構造計算プログラム上で部材情報を手入力で変更しながらトライアンドエラーを繰り返すのが一般的で、成果品の完成度が担当者の知識・経験に左右される側面もあった。こうした課題を受け、安藤ハザマは短期間で精度の良い構造計算結果を得るためのRPAによる自動計算システムを構築し、その基盤の上にAIグルーピングシステムを開発して「BROWNIE」へ発展させた。
開発は2019年に開始し、2022年に初版の試験運用を実施した。構造設計者の意見を反映しながら改良を重ね、2023年にS造ラーメン架構用システムの本格運用を開始。その後、RC造やハイブリッド造など対象構造・架構を順次広げてきた。開発初期から改良サイクルを短く保ち、構造設計者への展開・教育を並行して進めたことで、部門内での利用定着を図った。
外部環境では、国土交通省が2016年からi-Constructionを推進し、建設分野の生産性向上を政策課題として掲げている。建築分野でも設計・施工のデジタル化が加速し、設計段階の標準化や自動化が主要な論点となっている。日本の建築設計市場は2023年度で約5兆円規模とされ、設計業務の効率化や品質向上を目的としたDX投資が拡大している。
構造設計の現場では技術者の高齢化も課題で、40歳以上が4割を超えるとの調査もある。安藤ハザマが「BROWNIE」の適用対象とした高さ60m以下の建築物は、中低層建築が中心となる領域で、業務量の大きい分野を網羅する設定だ。手入力による反復計算に依存した従来型の運用から、AIとRPAを組み合わせた自動計算へ移行することで、担当者の経験差によるばらつきを抑えつつ、設計作業時間の圧縮と若手技術者の育成を同時に進める構図が浮かぶ。
適用範囲60m以下
共同開発先は株式会社リバネス、株式会社ヒューマノーム研究所、ソーラーテック株式会社で、AIとRPAを組み合わせた設計支援を社内標準として運用する。2019年の開発開始から、2022年の初版試験運用、2023年のS造ラーメン架構での本格運用を経て対象構造・架構を広げ、構造設計部門内の利用者率が2026年2月時点で80%に達した。
運用面では、AIグルーピングシステムとRPAシステムの併用を前提に、高さ60m以下の建築物に限定して適用する。対象はS造、RC造、RC柱+S梁のハイブリッド造で、ラーメン架構に加えブレース付きラーメン架構(S造)、耐震壁付きラーメン架構(RC造)を含む。初期検討段階から柱・梁の仮定断面の自動算出、概算見積資料の作成、複数ケース比較による構造計画の選定を担う設計支援ツールとして、基本設計業務の中核プロセスに組み込まれている。
安藤ハザマは「BROWNIE」を基盤に、さらなる自動化や高速化を進めるとともに、若手技術者の教育ツールとしての活用も見込む。構造設計部門の標準システムとして定着させることで、案件ごとの要件整理や部門内手順と連動させながら、設計DXの推進を加速させる方針だ。
