味の素株式会社(東京都中央区)は、2026年2〜3月に開催されるミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック・パラリンピックで、日本代表「TEAM JAPAN」への食と栄養の支援を強化すると発表した。TEAM JAPANゴールドパートナーとして、調味料やサプリメントなど自社製品を活用し、現地栄養拠点の運営を含む取り組みを開始する。
同社は公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、公益財団法人日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPC)と連携し、アスリートのからだとこころのトータルコンディショニングを支援する。主力のアミノ酸研究成果を生かした「アミノサイエンス®」を軸に、調理メニューとサプリメントを提供する。今回の施策は、スポーツ栄養分野での長年の取り組みを拡張するものだ。
アミノ酸製品を10万本提供
同社は2003年からJOCと共同で進めるアスリート支援事業「ビクトリープロジェクト®」の下で、栄養サポートを展開してきた。
ミラノ・コルティナ大会に向けては、従来型の調理支援に加え、2025年11月からアミノ酸サプリメント6品種を約10万本提供し、選手の回復や持久力維持を図る計画だ。味の素の冷凍食品や乾燥スープなども組み合わせ、チーム全体の健康維持を支える。
大会期間中は、JOCが現地で運営する栄養サポート拠点「JOC G-Road Station」に全面協力する。
同拠点では、選手村食堂を補完する形で「和軽食」を中心に提供し、選手の体調安定とエネルギー補給を目的とする。拠点の企画・運営はJOCと味の素が共同で実施する形となる。
現地シェフと共同開発の特製メニュー
今回は、イタリア・ミラノで活動するシェフ徳吉洋二氏(BENTOTECAオーナー)と連携し、現地食材を生かした「Power Gyoza DON」を開発した。
うま味を生かし食べやすさを高めた丼メニューで、必要なエネルギーやビタミン類をバランス良く摂取できる構成となっている。イタリア産の季節野菜を使用し、一食で一日に必要な野菜量の約3分の1を摂取できるという。
このほか、日替わりで「エネルギー豚汁」「コンディショニングスープ」を提供し、味の素の「鍋キューブ®」6種類を使い“味変”を楽しめる工夫も加える。
現地で長期間を過ごす選手にとって飽きのこないメニュー構成とした。
同社によると、慣れない環境で食欲が低下するケースが多く、こうした工夫が栄養摂取の継続に効果的だという。
パラ選手団向けの休憩拠点も開設
パラリンピック期間中には、JPCと共同で「いつでも、ふぅ。広場」と呼ばれる支援拠点を設ける。
パリ2024大会で実施した「Café Du Dashi」の後継にあたる取り組みで、冷凍弁当「あえて、®」を300食用意し、寒冷地での外出が難しい選手にも温かい食事を提供する。
味の素冷凍食品株式会社の「おべんとPON®!」シリーズも日替わりで供給し、栄養バランスを保つ。
また、味の素AGF株式会社の協力で、現地の硬水でも風味を損ないにくいコーヒーを選定した。あわせて、だし湯「SIIDA®」を使った温かい飲料も提供し、選手が気軽に立ち寄れる休憩空間を形成する。
これにより、競技間の短時間でもリラックスできる場を確保し、精神的ケアにも配慮した構成となっている。
支援拡大の背景と狙い
味の素は長年スポーツ栄養分野に注力しており、アミノ酸サイエンスを基盤とした栄養支援を国内外で展開してきた。2003年に始まったビクトリープロジェクトは、リオ大会以降6大会連続で現地をサポートしており、JOCやJPCとの協力体制が定着している。
今回の支援拡大は、現地対応力をさらに高め、個々の競技特性に合ったメニューを提供するための一環だ。
外部環境では、海外での食文化の差や、硬水・気温変化に起因する体調管理の難しさが課題とされてきた。
特に冬季競技では、寒冷下でのエネルギー消費が大きく、栄養補給がパフォーマンス維持に直結する。
こうした条件下で、現地拠点の整備と多様な食事体系を組み合わせることが、競技力向上の基盤となる。
現地サポートの広がりに注目
味の素の関係者は「スポーツ栄養の研究成果を社会へ還元し、選手が最高の状態で挑めるよう全力を尽くす」と説明する。パリ大会で得た経験を踏まえ、食と休養の両面で支援手法を進化させている点が特徴だ。
同社は、今回の活動を通じてアスリート支援を生活者向け健康領域にも展開する考えを明示している。スポーツ分野で培った栄養管理の知見を一般層へ応用し、Well-beingを重視する商品開発にもつなげる構えだ。
今回の施策は、スポーツ栄養支援の継続的枠組みを整える流れの中に位置づけられる。