味の素AGF株式会社(東京都)は、2026年4月1日納品分から日本茶スティック商品4品の価格を引き上げる。対象製品の店頭価格は品目によって25%〜70%上昇する見込み。茶葉の国際価格上昇などで原材料費が高止まりし、製造コストも増加していることが影響した。企業努力での吸収が難しくなったとして改定を決めた。
同社が販売主体となり価格を見直すのは、喫茶・嗜好品用途の日本茶スティック市場における採算確保の一環である。今回の改定では、茶葉調達費用と製造工程での諸コスト上昇が主要因となっており、安定供給を続けるには価格調整が必要と判断した。生産と流通の両面で継続的な負担増が見込まれる中、高品質な製品提供を維持する目的がある。
茶葉調達高騰が直撃、最大70%上昇
今回価格改定の対象となる日本茶スティックは計4品で、品種別に異なる改定幅となる。上昇幅はおおむね25%〜70%とされ、嗜好品としての日本茶製品においても比較的大幅な調整となる見通しだ。主要原料の茶葉は国際的な需給逼迫や気候変動などの要因によって調達価格が上昇しており、結果として製造原価にも影響が及んでいる。
国内外の供給網を活用してコスト吸収に努めてきたが、限界に達したと説明している。
同社によると、社内での生産効率化や物流コストの抑制策を継続的に講じたものの、今回の原材料費高騰は自助努力の範囲を超えた水準だという。
これを受け、小売店への納品段階での出荷価格を見直す方針を固めた。
嗜好品市場でコスト増圧力が顕在化
味の素AGFは家庭用・業務用のコーヒーやスティック飲料などを広く展開しており、近年は日本茶や抹茶ベースの商品群も拡充してきた。
今回の日本茶スティックはそうしたラインアップの一部にあたり、茶葉需要の高まりとともに価格構造の見直しが課題となっていた。生産コスト上昇を受けた価格改定は、他の飲料カテゴリにも波及する可能性がある。
背景には、世界的な原材料調達難がある。茶葉の供給は天候不順や労働力不足で不安定化しており、輸送費や包装材、エネルギーコストも上昇傾向が続いている。
飲料メーカー各社ではコーヒー豆やカカオなど他原料の価格上昇にも直面しており、全体として製品投下コストが増大している。今回の決定は、嗜好品分野におけるコスト増圧力の顕在化を象徴する動きといえる。
経営陣「安全で高品質な供給維持」
味の素AGFの島本憲仁社長は、消費者への理解を求めつつ、「安全で高品質な商品の提供と嗜好品市場の活性化に向けて努力を続ける」とコメントしている。
価格転嫁の背景にある供給安定性の維持や品質管理への姿勢を改めて示した。値上げによる消費動向への影響は注視するものの、安定供給の体制を優先する考えを示している。
価格改定後も、茶葉調達や製造過程における効率化施策は継続される見通しだ。
業界全体で原材料費の高騰が続くなか、消費者の購買行動や販売チャネルへの影響が注目される。今回の措置は、嗜好品分野での持続可能な供給体制を確保するための対応の一環と位置づけられる。