国内最大級のAI専門ポータルメディア「AIsmiley」を運営するアイスマイリー(東京・渋谷)は、2025年12月11〜12日にソラシティカンファレンスセンター(千代田区御茶ノ水)で「AIエージェント博 by AI博覧会」を開くと明らかにした。生成AIに続く技術革新で注目を集めるAIエージェントを取り上げ、約50社が出展し20以上の講演を予定している。専門家による展示や講演を通じ、実装フェーズに入った最新動向を共有する狙いだ。想定来場者は3,500人規模となる。
AIエージェントが国内外で社会実装の段階に入りつつある現状を踏まえ、企業や行政機関の担当者が最短で最新トレンドを把握できる機会を提供する。2025年に施行が始まる人工知能基本計画により、AIの活用とリスク対応を同時に進める政策環境が整いつつある。民間主導での生成AI・対話AIの内製開発も拡大している。こうした流れを踏まえ、AIエージェントを中心に「自ら考え動くAI」の展望と課題を議論する場となる見通しだ。
御茶ノ水で大規模イベント開催へ
会期は2025年12月11日(木)と12日(金)の2日間。会場では出展企業の製品展示に加え、金融・製造・教育など各分野の専門家による講演が行われる。セブン銀行のAIデータ戦略部長である中村義幸氏が登壇し、7年間にわたる同行のAI活用の歩みとAIエージェント導入の構想を解説する予定だ。生成AIを利用した自動化支援企業AutoAIze代表の松﨑太河氏による「小さなAIエージェント内製化」や、イレブンラボジャパンの寺村ジャック氏が顧客対応における音声AIの可能性を論じるセッションも設けられる。データサイエンティスト協会の佐伯諭氏が、人材育成とリテラシー強化をテーマにAI時代のスキル変革を取り上げる。
生成AI超えて新段階へ 産学連携が拡大
AIエージェント博では、生成AIや大規模言語モデル(LLM)の基盤技術に加え、RAG構築、ファインチューニング、ボイスボット、バーチャルヒューマン、エッジAIなど約100製品が出展対象となる。来場者は展示やデモンストレーションを通じ、自律的に動くAI技術を体感できる。登壇者にはABEJAの岡田陽介氏、ベイカレントの小峰弘雅氏、AVILENの高橋光太郎氏、エクサウィザーズの前川知也氏ら、国内AI分野を代表する実務家がそろう。彼らは企業変革や人とAIの共存、社会課題解決に向けたAIエージェントのビジネス活用を議論する。特に「人を労働から解放するのか」と題したセッションでは、AIによる業務代替と創造的仕事の分担が焦点となる。
国家戦略連動で利活用加速へ
政府は2025年、AI関連技術の研究開発と活用を進めるための人工知能基本計画を策定し、「AIを使う」「AIを創る」「AIの信頼性を高める」「AIと協働する」の4方針を示した。生成AIやAIエージェントなどの技術群は中核を担う。この国家戦略では、単なる性能競争から脱し、AIの実装による付加価値創出を重視している。少子高齢化や労働力不足を抱える日本では、AIを通じた生産性向上・産業構造転換が求められており、AIエージェントの実用化はその試金石となる。展示会が掲げる「AIエージェント時代」への移行は、政策・企業実務の両面で関心を集めている。
民間主導で進むエコシステム形成
主催するアイスマイリーは2018年設立。AIソリューションの比較・検索ができる「AIsmiley」メディアを運営し、月間300万PV規模のアクセスを誇る。企業が技術や事例を検索し、用途や業種に応じた資料請求を行える仕組みを通じ、国内企業のDX推進を支援している。同社は生成AI、ChatGPT連携、AI-OCR、予知保全、データ分析といった幅広い技術領域をカバーし、業界横断的な情報流通を担う。今回の博覧会でも、日本ディープラーニング協会や金融データ活用推進協会など計8団体が後援に名を連ねるなど、産学官の連携が強化されている。関係者によれば、AIエージェントの応用は金融や製造、行政手続きまで広がっており、官民を横断した議論と倫理・ガバナンス設計の共有が不可欠とされる。
実装深化と人材育成が次の鍵
展示会で示されるテーマの多くは、生成AIからAIエージェントへの移行期における「実践人材」の不足とスキル転換に関するものだ。データサイエンティスト協会の佐伯氏は、AIを事業に生かすリーダー育成とリテラシーの定着が不可欠だと指摘している。企業による内製化と教育投資が今後の成否を分けるとみられている。AIエージェントが生活・経済分野に浸透するなかでリスク対応も問われている。政府が掲げる「信頼できるAI社会」の実現には、透明性と安全性の確保を並行して進める必要がある。業界関係者の間では、こうした展示会や共同研究を通じて、国内のAI活用が「創る段階」へ進化する好機になるとの見方が広がっている。今後は、技術実装の加速と制度整備を両立できるかが主要な課題となりそうだ。