エアデジタル株式会社(埼玉県さいたま市)は、埼玉県久喜市の大型商業施設アリオ鷲宮内の運動習慣化施設「スポーツ60&スマート」で提供するデジタル活用の「寝たきり・認知予防/運動習慣化トレーニング」について、中間効果検証の2度目のまとめを示した。補助事業の枠組みで「CS-30」と「WHO-5」を用いて変化を整理し、取り組みの運用実態を可視化することで、利用者側の継続判断にも影響し得るとしている。
今回の検証では、30秒間に椅子から立ち上がれる回数を測る運動機能評価テスト「CS-30」と、WHOが推奨する精神的健康の指標である質問票「WHO-5」を活用した。エアデジタルは「スポーツ60&スマート」内でデジタル活用のトレーニング提供を積極的に進めている。中間段階の検証結果を整理し、2026年3月末時点で再度の効果検証を行う予定だ。
183坪施設で中間集計
提供の場となる「スポーツ60&スマート」はアリオ鷲宮1階に設け、施設面積は約183坪としている。エアデジタルは旧社名がレジェンドスポーツヒーローズ株式会社で、2019年2月設立と記した。2025年12月24日に「寝たきり・認知予防/運動習慣化トレーニング」の提供開始を示し、2026年2月26日には実証実験の中間効果検証その1をまとめており、今回が中間整理の2回目となった。
中間効果検証では、運動機能と精神的健康の変化を同時に捉えるため、CS-30とWHO-5を軸に整理した。CS-30では初回20回を閾値として2つの群を設定し、経時的変化を可視化した。初回が20回を下回る群は下が10回から上が18回と散らばっていた一方、3ヶ月時点では20回付近に集約される傾向がみられたという。エアデジタルは、本プログラムにおける一定の効果および目標値が浮き彫りになったとみている。
WHO-5は、日常生活における気分状態を問う5項目の設問で構成し、各設問0~5点の6段階で回答する仕組みだ。13点未満は「精神的健康状態」が低いとされ、うつの罹患リスクが高いとされている。初回結果(10月末結果検証時)では、フレイル予防講座受講者と要介護認定利用者のいずれも、うつリスクを有する者の割合が17%台だったという。
時系列では、要介護認定利用者で、うつリスクを有する者の割合が初回24.6%から1ヶ月後13.1%となり、初回から11.5ポイント減少した。フレイル予防講座受講者では、初回22.2%から1ヶ月後27.8%となり、初回から5.6ポイント増加した。一方でエアデジタルは、実数としては1人の増加にとどまり、結果的にはほぼ同程度の水準維持と整理している。今回の中間効果検証について、実施による効果がないわけではなく、維持または上昇に向かっている感があるとの見解を示した。現況として、利用者の参加頻度や参加意欲が高まっていることは、現場で視覚的にも確認できる状況だとした。
こうした指標の採用は、自治体の介護予防政策とも重なる。埼玉県は「高齢者福祉計画(2024-2028)」で久喜市を含む範囲のフレイル予防目標を設定し、商業施設を活用した運動プログラムを推奨している。計画では補助金交付実績が2025年度に50件超とされ、補助事業の枠組みでの取り組みが各所で組成されている状況がうかがえる。
高齢化の進展も、運動・メンタルの両面を測る取り組みの増加と接続する。厚生労働省「令和6年版高齢社会白書」によると、日本の高齢化率は2025年時点で29.3%とされ、フレイル・サルコペニア有病率は高齢者の10-20%とされる。内閣府の「高齢者の健康・運動実態調査(2024年度)」では、65歳以上要介護者のWHO-5に関する指標が全国平均18.5%と示され、総務省の「高齢者就労・健康白書(2025)」では、うつ罹患リスクが高い要介護者が24%超とされる。指標を用いて状態変化を整理する枠組みは、こうした統計上の課題領域とも整合し、高齢者施策全体の方向性とも軌を一にしている。
CS-30とWHO-5併用
今回の枠組みは、運動面の変化をCS-30で、精神面の変化をWHO-5で捉える構成をとる。CS-30では初回20回を閾値に2群を置き、初回が20回を下回る群が3ヶ月時点で20回付近に集約されたとして、経時的変化の推移を示した。WHO-5では13点未満をうつの罹患リスクが高い指標として扱い、要介護認定利用者とフレイル予防講座受講者の双方を同一指標で整理した。
この整理は、運用の途中段階で変化をまとめる点に特徴がある。エアデジタルは補助事業の枠組みで中間の変化をまとめ、再度の効果検証を2026年3月末時点で行う予定だとした。中間検証を複数回に分けて示す手法は、プログラムの実施状況を定期的に可視化する運用と一体で進んでいる。
商業施設内での高齢者向けデジタル運動・健康支援は、他社の取り組みもみられる。株式会社タニタは2024年から高齢者向けデジタル運動アプリ「TANITA HealthPlanet」を全国スポーツ施設に導入し、フレイル検出にCS-30相当テストを用いるとした。株式会社オムロンヘルスケアは2025年にアリオ系列施設で「心拍・筋力モニタリング」プログラムを開始し、中間検証でCS-30スコア平均向上12%としている。測定指標の導入と商業施設を場にした実装は、同種の枠組みで広がりがみられる。
市場側の規模感では、矢野経済研究所が高齢者向けヘルスケア市場を2025年に1.2兆円と推計し、デジタルツール活用領域の年成長率を12%とした。エアデジタルの取り組みは、商業施設内の常設型施設で高齢者の運動習慣化を扱い、補助事業の評価枠組みの中で指標に基づく検証を重ねる点で、デジタル活用領域の事業設計と接点を持つ。
中間段階の整理は、運動・メンタルの双方で数値の変化を示しつつ、利用者の参加頻度や参加意欲が高まっている状況も合わせて記載した。数値と運用実態を同時に示す構成は、同一施設内での継続利用を判断する材料になり得るという文脈で提示されている。
一連の検証は、提供開始から中間検証を経て、2026年3月末時点の再検証につなぐ工程に沿う。エアデジタルは、デジタル高齢者予防プログラムの運用実態を可視化するため、CS-30とWHO-5を用いた中間整理を重ねる構えだ。
法人向けの取引管理の観点では、補助事業の枠組みで指標を用いた検証を行う運用となるため、測定時点(初回、1ヶ月後、3ヶ月など)と対象区分(要介護認定利用者、フレイル予防講座受講者)をそろえたデータ整理が論点となり得る。エアデジタルは2026年3月末時点で再度の効果検証を行う予定だとしている。
